2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J06153
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
森田 裕史 一橋大学, 経済研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | ゼロ金利政策 / 財政政策 / 時変係数モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、ゼロ金利下における財政政策の効果の分析を行ってきた。財政政策は、政府による景気刺激策の一つであり、その効果を明らかにすることは非常に重要な取り組みである。特に、ゼロ金利下における財政政策の効果を明らかにすることは、日本を含めて多くの先進国で名目利子率がゼロ近傍にある現状を考えると、政策的な意味を十分に持っていると考えられる。一方で、いくつかの研究論文においてゼロ金利下で財政乗数が高まることが理論的に示されており、本研究は政策的な意味だけでなく学術的な観点からも貢献が高い研究である。
本研究では、「時変係数VARモデル」と呼ばれる最新の時系列分析の手法に「符号制約」と呼ばれる識別手法を駆使し、ゼロ金利下における財政政策ショックと金融政策ショックを正しく特徴づける方法を提示している。分析の結果、日本銀行がゼロ金利政策を採用した1990年代後半以降、財政乗数が高まっていることが明らかになった。
以上の分析結果は、"Time-Varying Effects of Fiscal and Monetary Policy in Japan: New Identification for Monetary Policy at the Zero Lower Bound"と題する英語論文としてまとめた。同論文は2014年6月の日本経済学会や2015年1月にニュージーランドで開催されたWestern Economic Association International 11th International Conferenceで報告し、国内外の著名な研究者から多くのコメントと評価を頂いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゼロ金利下における財政政策の効果を時変係数VARモデルで推計した研究は、既に論文としてまとめられ、国内外の査読付きの学会で採択され、学会報告を行った。学会報告で頂いた多くのコメントに対応するため、査読付きジャーナルへの投稿は平成27年度になる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、平成26年度の学会報告で得られた多くのコメントを反映し、ゼロ金利下の財政政策の効果に関する研究を完成させて、ジャーナルへの投稿を行う。
それと同時に、家計の異質性を考慮した財政政策の波及メカニズムの分析を行うために、個票データを用いた分析に関する研究のサーベイを進めていく。
また、これまでに修得した推計手法を、財政政策の分析以外にも適用し、多くの研究成果を上げることを目標とする。
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Research Products
(6 results)