2015 Fiscal Year Annual Research Report
銀行信用データベースの統合化と会計制度及び商習慣を考慮した信用リスク評価
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14J06177
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
田上 悠太 総合研究大学院大学, 複合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 信用リスク / LGD推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は行ったデータベースの整備とLGDの決定要因の分析を行った.その成果を踏まえて,本年度は,3つの研究を行った.
①昨年度に作成したデータベースとLGDの決定要因の分析成果を用いてモデルを作成を行った.昨年度に行った要因分析の結果と考案していたモデル案をもとに多段階LGD推定モデルを開発,改良を行った.多段階LGD推定モデルは,まずはじめに,正常復帰を考慮した分岐を行い,その次にLGD=0とLGD>0の分岐を行い,さらにLGD>0の場合に,損失率の回帰を行う.昨年度の要因分析の結果を用いて,債務者の業種,地域区分を説明変数としてモデルに取り込むことでモデルの推定精度の向上をはかった. また,変数変換法を改良した.これまではYeo-Johnson変換を用いていたが,Yeo-Johnson変換は凸であり,表現力に欠けている問題があった.凸でない変換方法として一般化neglog変換を開発し,Yeo-Johnson変換の代わりにを用いるよう,モデルの改良を行った.これによりYeo-Johnson変換を用いる方法に比べてモデルの推定精度が向上した. ②作成したモデルを実際に運用した.今年度追加で提供されたデータを昨年度と同様の方法で整備し,データベースに追加した.そして,①で作成したモデルをそのデータベースに対して適用した. ③モデルの精度について検証した.②の運用結果をもとに,モデルの推定精度の確認を行った.具体的には,追加したデータをもとにアウト・オブ・タイムの推定精度の検証を行った.その結果,先行研究が提案する既存のモデルに比べて説明力が向上することが確認された.また,推定精度の評価基準の整理と検討を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では,決定要因をもとにしたモデルの作成と,作成したモデルを実際に運用,モデルの精度についての検証を予定していた.実際に上記の通り,3つの研究を遂行することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究計画の残りの課題は,本年度に行ったモデルの精度検証の結果をもとに,さらなるモデルの推定改良を行い,実務で利用可能なレベルまで推定精度を上げることである.そのために,まずは本年度行ったモデル精度の検証結果をさらに分析し,モデル精度の向上に必要な要因の分析を行う.そして,分析の結果を反映させて,今年度作成したモデルを改良することにより,より推定精度の高いモデルを完成させる.
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Research Products
(3 results)