2016 Fiscal Year Annual Research Report
自発的啼泣の初期発達-音響的、生理学的解析および心理的指標からの検討
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14J06302
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
新屋 裕太 京都大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 泣き / 早産児 / 新生児 / 音響解析 / 迷走神経 / コミュニケーション / 情動 / 言語獲得 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳児期における自発的啼泣のメロディーの発達については、その後の言語獲得の基盤の一つとなることが、進化的観点や音響音声学的観点から議論されてきた(Darwin, 1877; Okanoya & Merker, 2007; Wermke et al., 2009)。その実証的な知見は少ないものの、満期産児では、乳児期前期に複雑なメロディーパターンを示す児ほど、乳幼児期の言語発達が良好であることが報告されている(Wermke et al., 2007)。一方、言語発達のリスクを抱える早産児では、発達初期における自発的啼泣のメロディー特徴と、その後の言語発達との関連性については検討されていない。 申請者はこれまでに、早期に出生した児ほど修正満期時点での自発的啼泣のF0が高く、こうしたF0の高さは迷走神経機能の低下に伴う声帯緊張が原因である可能性を示してきた(Shinya, Kawai, Niwa, Myowa-Yamakoshi, 2014; 2016)。今年度は、先行研究に参加した早産児および満期産児を対象に、18ヶ月時点の言語発達を追跡調査し、修正満期時点で自発的啼泣のメロディー特徴(F0の時間的変動)との関連性を検討した。分析の結果、(1)早産児の自発的啼泣のメロディーは、満期産児よりもF0変動が大きいこと、(2)早産児群では、自発的啼泣のF0の変動が大きい児ほど、18ヶ月時点の表出語彙のスコアが高いこと、が明らかになった。 本研究の意義は、自発的啼泣のメロディーの初期発達が、乳児期の言語獲得に関わる発声制御能力の個人差を反映する可能性を示唆した点にある。今後より大きいサンプルサイズにおいて検証を行うことで、発達早期の自発的啼泣のメロディーの音響解析を、言語発達のリスク群を早期検出する指標の一つとして利用することも期待される。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)