2014 Fiscal Year Annual Research Report
パルス励起手法と直交偏光子法を組み合わせたチップスケール原子発振器の特性改善
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14J06442
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
矢野 雄一郎 首都大学東京, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | CPT / 原子発振器 / ファラデー効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
チップスケール原子発振器の周波数安定度を改善するために,CPT共鳴およびCPT-ラムゼイ共鳴におけるファラデー効果を中心に理論的・実験的に研究し,それら成果を口頭発表,論文として発表した. 1.CPT共鳴のファラデー効果に関しては“High-contrast Coherent Population Trapping based on Crossed Polarizers”を論文として発表した.この論文では,CPT共鳴のS/N比を改善する方法として直交偏光子法を提案し,理論と実験の両側面から改善効果を明らかにしている.理論においては,偏光回転は磁場感度の最も低い2つ遷移の重ねあわせにより生じていること,2つの遷移の重ね合わせにより二色性は消え,旋光性のみが生じることを明らかにした.実験においても,CPT共鳴のS/N比が改善されることを実証した.磁束密度の増加に伴って偏光回転量が増えS/N比は増加すること,ゼーマン分裂によりQ値が減少することを明らかにした. 2.CPT-ラムゼイ共鳴のファラデー効果に関しては“直交偏光子法とパルス励起を組み合わせた高コントラストCPT 共鳴の検討”と題して口頭発表した.この発表では, 直交偏光子法とパルス励起を組み合わせることで,S/N比とQ値が共に高い値が得られることを示した.2つ遷移の重ねあわせによって,磁束密度に対する偏光回転の干渉現象が生じることを示した.また,共鳴振幅は磁束密度に対して周期性を持つこと, S/N比を最大にする最適な磁束密度が存在すること,自由発展時間を長くするほど最適な磁束密度は小さくなることが明らかとなった.現在,この発表に基づいた論文を現在執筆中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,CPT共鳴およびCPT-ラムゼイ共鳴におけるファラデー効果を中心に,大きな研究成果が得られている.特に理論面においてCPT共鳴のファラデー効果の系統的な研究が進んだ.その結果,偏光回転は磁場感度の最も低い2つ遷移の重ねあわせにより生じていること,2つの遷移の重ね合わせにより旋光性のみが生じることが示された.実験においても,理論と同傾向が得られることを示している.また,ファラデー効果以外にも,CPT共鳴のライトシフトの数値計算など,先端性の高い研究成果が得られている.これら研究は,IEEE Transactions on Ultrasonics, Ferroelectrics and Frequency ControlやPhysical Review Aなどで論文として報告されており,期待通り研究が進展したと評価している.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に則って研究を推進し,研究内容を一層深めつつ,さらなる特性改善を図る.特に,パルス励起と直交偏光子法を組み合わせたときの周波数安定度評価を目的とする.
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