2015 Fiscal Year Annual Research Report
神経堤細胞による冠動脈形成機構とレチノイン酸シグナルの関与
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14J06509
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
瀬谷 大貴 東京大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | レチノイン酸 / 神経堤細胞 / エンドセリン / 冠動脈 / 形態形成 / 先天性心疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
冠動脈の形成には心外膜前駆組織、神経堤細胞等の多数の細胞群が関与していると考えられている。その中で我々は、妊娠マウスへのレチノイン酸(RA)投与が、その胎仔の冠動脈に走行異常と中隔枝の拡張を呈することを見出した。本研究ではその現象を糸口として、冠動脈形成へのRAシグナルの関与と役割について明らかにしようとしている。以下に詳細を記載する。 神経堤細胞の系譜を標識するWnt1-Cre/R26R-LacZマウスでの解析の結果、母獣RA投与下の胎仔では、Creで標識された細胞の心流出路内への流入が減少する一方で、鰓弓動脈と前腸内胚葉間での集簇が認められた。このことからRAシグナルが、神経堤細胞の遊走期に作用し、その挙動に影響を与えている可能性が示唆された、現在さらに、二次心臓領域の細胞系譜を標識するIsl1-Creマウス、エンドセリンA型受容体(Ednra)発現細胞を標識するEdnra-LacZマウスを用いて、他の細胞系譜との関与について解析を進めている。今後は、In situハイブリダイゼーション、免疫組織化学等の手法で、エンドセリン(Edn)シグナルの関与、分子メカニズムを明らかにしていく予定である。 また、単一細胞レベルでの遺伝子解析から、幹細胞の性質をもつと考えられる一群が見出されるなど、心臓内へ流入する神経堤細胞の多方向への分化特性に関しても新しい知見を得つつあり、その解析も並行して進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
冠動脈の形成に関して、Wnt1-Cre/R26R-LacZマウスでの解析から、レチノイン酸の神経堤細胞の挙動に対する新たな作用を見出すとともに、他の標識マウスでの解析も進んでいる。さらに、心臓内へ流入する神経堤細胞の一群に、特徴的な遺伝子発現を見出すことができ、新たな進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
レチノイン酸の冠動脈形成への寄与に関して、特に神経堤細胞の冠動脈平滑筋細胞への分化に注目し、分子機序、心臓を構成する他の細胞との相互作用について評価していこうと考えている。
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Research Products
(1 results)