2014 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素環境下におけるプロバイオティクス乳酸菌の腸炎抑制作用の検証
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14J06559
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
宮本 潤基 広島大学, 生物圏科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | conventional DC / hypoxia / colitis / dendritic cells / probiotics / bifidobacterium |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 腸炎モデルマウスにおける樹状細胞サブセットの局在検討 デキストラン硫酸ナトリウム (DSS)誘導性腸炎モデルマウスの腸管粘膜固有層 (LPL)では、conventional DC (cDC)が顕著に増加しており、さらに、腸炎によって誘発された低酸素領域に局在していることも明らかにした。 2. FLT3L誘導性樹状細胞によるTh17誘導能の検討とプロバイオティクス乳酸菌の効果 Fms-related tyrosine kinase 3 ligand (FLT3L)誘導性cDCを通常酸素下 (20.9 %)あるいは低酸素下 (1 %)で培養したところ、低酸素培養によって共刺激分子であるCD86の発現や、炎症性サイトカインであるIL-6, TNF-αの産生量が有意に亢進した。従って、低酸素下におけるcDCは炎症の惹起や慢性化に寄与することが示唆された。このとき、このとき、各乳酸菌・ビフィズス菌の基準株であるLactobacillus reuteri JCM 1112T, Lactobacillus rhamnosus JCM1136T, Bifidobacterium bifidum JCM1255T, Bifidobacterium breve JCM 1192T, Bifidobacterium longum subsp. infantis JCM1222TおよびBifidobacterium longum subsp. longum JCM1217T をそれぞれcDCへ作用させ、IL-6, TNF-αおよび抗炎症性サイトカインであるIL-10の産生量を評価した。その結果、低酸素培養によって増加したIL-6の産生量を全ての菌株が抑制した。さらに、B. breve, B. infantisおよびB. longumの3菌株においては、TNF-αの産生量も抑制した。一方、抗炎症性サイトカインであるIL-10の産生量においては、全ての菌株でIL-10産生が亢進しており、その効果は特にBifidobacterium属で顕著であった。現在、低酸素培養したcDCと脾細胞由来ナイーブT細胞を共培養し、cDCによるTh17細胞への分化促進能および、Bifidobacterium属を中心としたプロバイオティクス菌によるTh17抑制効果に着目して検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初より、プロバイオティクス乳酸菌の腸管への作用を考える上で、樹状細胞サブセットレベルで考える必要があると考えていた。そこで、DSS腸炎モデルの腸管粘膜固有層 のDCサブセット割合を検討した。DSS腸炎マウスのLPLでは、cDCが顕著に増加しており、しかも低酸素領域に局在していることも明らかにできたことについて、期待通り研究が進展した。 加えて、低酸素培養したFLT3L誘導性cDCに対するプロバイオティクス菌の有する抗炎症活性が、(Lactobacillus属ではなく)Bifidobacterium属で顕著であることも明らかにした。 さらに、同じDSSマウスに対し、プロバイオティクス乳酸菌の産生する水酸化脂肪酸が炎症を抑制することも実証し、JBCに論文発表することができた。樹状細胞との関連については今後の検討課題として残されたものの、期待以上の研究の進展があった考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、低酸素培養したFLT3L誘導性cDCに対してプロバイオティクス菌が抗炎症活性を有することを証明している。引き続き、プロバイオティクス菌の抗炎症活性の作用メカニズムを明らかにするために、FLT3L誘導性cDCの発現分子、サイトカイン分泌やTh17誘導能などに着目して検討を行う。 また、実際にこれらプロバイオティクス菌が生体内での低酸素領域(炎症部位)でも抗炎症活性を発揮することを証明する。 さらに、このとき、低酸素環境と腸内細菌叢の変化にも着目して引き続き解析を行う予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] A gut microbial metabolite of linoleic acid, 10-hydroxy-cis-12-octadecenoic acid, ameliorates intestinal epithelial barrier impairment partially via GPR40-MEK-ERK pathway.2015
Author(s)
Junki Miyamoto, Taichi Mizukure, Si-Bum Park, Shigenobu Kishino, Ikuo Kimura, Kanako Hirano, Paolo Bergamo, Mauro Rossi, Takuya Suzuki, Makoto Arita, Jun Ogawa, and Soichi Tanabe
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Journal Title
Journal of Biological Chemistry.
Volume: 290
Pages: 2902-2918
DOI
Peer Reviewed
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