2014 Fiscal Year Annual Research Report
ジルコニアセラミックスの3次元自由形状創成を目的とした加工技術に関する研究
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14J06607
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木崎 通 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | ジルコニア / セラミックス / レーザ援用加工 / 有限要素法 / 誘導加熱 / 脆性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度に,レーザ援用加工法および工具加熱加工法に関する研究を実施した. まず,ヒータを用いてジルコニアセラミックスを最高450 °Cに加熱し,高温環境下における加工メカニズムを解明した.その結果高温環境化においては材料の脆性が顕著となり,脆性モードでの加工が支配的となることが判明した.次にレーザ援用加工を実施するための実験装置を開発した.実験装置はレーザ照射用レンズ,焦点位置微調整装置,スポット位置微調整装置,高速度カメラおよびサーモグラフィから構成されており,これらを3軸マシニングセンタに搭載した.レーザ照射時の材料中温度分布を得るため,有限要素シミュレーションを開発した.シミュレーション結果とサーモグラフィによる計測結果を比較した結果,両者が合致した.シミュレーション結果を用いて,加工部位の温度分布が最適となるよう,レーザ照射条件を決定した.決定した条件を用いてレーザ援用加工実験を実施した.材料を損傷することなく加工でき,さらにレーザ非援用における加工と比較しスラスト力が51.3 %低下,工具摩耗量も大幅に減少した.平成26年度における成果において,材料の脆性を利用したレーザ援用切削加工を提案し,その有効性を示せたことに新規性がある.さらに,レーザ援用切削の加工条件を決定する方法を提案した点にも新規性がある.これらの研究成果に関して,現在International Journal of Machine Tools and Manufactureに投稿中である.また,工具を加熱してドリルで加工する工具加熱加工法に関して,超硬ソリッドドリルを利用した実験を実施している.提案手法において,切削力の減少が確認された. ジルコニアセラミックスに対する,高効率・低コスト且つ精度も保障される除去加工法が本研究を通し確立されつつある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の年次計画において,一年目(平成26年度)はレーザ援用切削加工法に関する研究,工具加熱加工法に関する研究およびレーザ焼結法に関する研究を実施するとしていた.前二者に関しては順調に進行しており,特にレーザ援用切削加工法に関しては予想以上に進行したといえる.一方レーザ焼結法に関する実験は現在のところ実施できていない.しかし,具体的な焼結方法に関する提案をいくつか行っており今後実験を実施していく予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
レーザ援用切削加工に関しては,工具種類の変更,切削速度を50 m/min程度まで増加させることを検討している.さらに3次元自由形状加工実現のため,ガルバノスキャナを用いた実験装置の設計を行った.この開発も並行して進める. 工具加熱加工法に関して,基礎的なドリル加工実験を27年度初頭に終了し,英語論文にまとめる. 焼結については,現在ジルコニアに特化した新たな焼結方法の特許を申請中であり,今後基礎的な実験を実施する. 一方,ジルコニアセラミックスの3次元自由形状を創成するにあたり,工作機械と実験装置を融合させる必要があるが,そこには技術的困難が多い.時間制約の中で最も効果的に有効性を示せる実験方法を検討する必要がある.
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