2014 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ記憶中枢における記憶に必要な神経細胞種の全同定
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14J06646
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
市之瀬 敏晴 東北大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 行動遺伝学 / ショウジョウバエ / 記憶学習行動 / キノコ体出力神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
キノコ体は昆虫における記憶中枢として知られており、特にショウジョウバエの行動遺伝学を用いた神経回路の研究が脚光を浴びている。先行研究により、キノコ体への感覚入力が記憶を形成する神経回路機構が解明されつつあったが、キノコ体からの神経出力に関しては、その大部分が未解明であった。申請者らは嗅覚連合記憶のキノコ体からの神経出力機構を理解するため、嗅覚忌避記憶、嗅覚報酬記憶に重要な役割を果たすキノコ体出力神経細胞種を網羅的に同定した。具体的には、約20種類の各出力神経細胞種について個別に機能阻害を行い、記憶学習行動に異常が出る細胞種を行動学的に同定した。本研究の成果と各細胞種の解剖学的知見を合わせ、嗅覚忌避記憶、嗅覚報酬記憶において、キノコ体から脳の他領域への出力様式が明らかとなった。この知見は、同分野の今後の研究における重要な基盤となることが予想される。この研究成果は、共同研究者による他の記憶学習行動系における研究結果と合わせ発表された(Aso, Sitaraman, Ichinose et al., 2014, Elife)。 次に、本研究で同定された出力神経細胞種のうち、特に長期報酬記憶に重要な役割を果たす細胞種に着目した。興味深いことに、この細胞種は、短期報酬記憶における役割は小さいが、長期報酬記憶の形成に非常に重要な役割を果たすことが明らかとなった。この出力神経細胞種、さらにこれと相互作用する入力神経細胞種について、行動学、解剖学、分子生物学を合わせた多角的な解析を行い、長期報酬記憶の形成メカニズムの一端を明らかにした。この成果についての論文は現在雑誌に投稿中である。今後はその他の神経細胞種についても詳細な解析を行い、記憶処理の神経回路機構についての網羅的な理解を目指す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標としていた、連合記憶に必要なキノコ体出力神経細胞種の同定を行うことができ(Aso, Sitaraman, Ichinose et al., 2014, Elife)、特定の細胞種についてさらに詳細な解析を進めているため。
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Strategy for Future Research Activity |
同定された出力神経細胞種について、さらに詳細な機能解析を行う。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Mushroom body output neurons encode valence and guide memory-based action selection in Drosophila2014
Author(s)
Aso Y, Sitaraman D, Ichinose T, Kaun KR, Vogt K, Belliart-Guerin G, Placais PY, Robie AA, Yamagata N, Schnaitmann C, Rowell WJ, Johnston RM, Ngo TT, Chen N, Korff W, Nitabach MN, Heberlein U, Preat T, Branson KM, Tanimoto H, Rubin GM
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Journal Title
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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