2014 Fiscal Year Annual Research Report
小児先天性心疾患患者の肺循環を補助する超小型血液循環補助装置の開発研究
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14J06949
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山田 昭博 東北大学, 医工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | Fontan循環 / 循環補助装置 / 先天性心疾患 / 形状記憶合金 |
Outline of Annual Research Achievements |
重篤な先天性心疾患の治療において、Fontan手術と呼ばれる治療が行われ、Fontan循環では、肺血流は右心室を介さないため、術後は非常に非生理的な血行動態となり、術後遠隔期に様々な問題が生じている。 本研究では、Fontan循環の血行動態を改善することを目的とした、Fontan手術後の小児患者に対し完全埋め込みすることができ、肺血流を拍動的に補助可能な、超小型・軽量で人工血管に装着可能な拍動型肺循環補助装置を具現化することを目指す。 本年度は、デバイス開発のための模擬循環シミュレータ構築による評価手法を確立し、Fontan循環補助デバイスの臨床試験を見据えたプロトタイプを開発した。低圧・低流量条件下での蠕動収縮による管内部への加速流生成メカニズムを数値解析により明らかにし、蠕動駆動制御システムを確立し、デバイス駆動時に生じる発熱を抑制し、過熱防止機能を搭載したコントロールシステムの開発を行った。 臨床ニーズに基づくプロトタイプデバイスを試作し、過熱防止機能を搭載したコントロールシステムの実装のため、デバイス駆動時に生じる発熱をセンサによりフィードバックする制御システムを開発した。開発したプロトタイプデバイスは、全長200mm、厚さ5mm、重さ約50gであり、小児の体内にも埋入可能な小型化が実現できた。発熱フィードバックシステムを構築し、デバイスの温度上昇を設定した閾値内に制御できた。フィードバックシステムにより適切な熱収支を実現でき、デバイス収縮力の低下も抑制できた。フィードバック制御の導入により生体内でも安全に動作させることができると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Fontan循環の流体力学的特性を考慮に入れた模擬循環試験回路を作成し、蠕動駆動制御による拍動型循環補助システムの製作と評価試験を実施した。アクチュエータ駆動時に生じる発熱を抑制し、体内埋め込み時にも生体に悪影響の及ぼさないための過熱防止機能を搭載したコントロールシステムを開発し、より安全性が高く有効な収縮駆動可能としたシステムを実現している。この成果は、Journal of Artificial Organsに投稿済みであり、すでに受理(Accepted: 6 March 2015)されている。研究目標である超小型小児用肺循環補助装置の基本仕様を決定し、形状記憶合金線維を応用した循環補助デバイスのプロトタイプモデルを開発できた。また、新鮮摘出肺を用いた陰圧での呼吸性変動を再現する肺循環ハイブリットシミュレーションシステムの構築に着手し、基礎的なモデルシステムを作成することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床応用を見据えた前臨床試験として、プロトタイプとして開発したデバイスを健常成山羊をもちいた動物実験により、生体内埋め込み後のFontan循環への有効性・有用性を評価する。上下大静脈と肺動脈を人工血管を介して吻合するFontan手術(心外導管TCPC術)を健常成山羊に施行し、Fontan循環補助デバイスを生体での評価するためのFontan循環モデルの構築を目指す。急性動物実験により、生体内での流体力学的循環補助性能、発熱による生体組織への影響の評価を行い、生体内での電気的安全性を含めたデバイスの有用性を確認する。動物実験により得られたデータから、プロトタイプとして開発したデバイスの改良開発を進め、生体内でも安定に動作し、有効な循環補助を実現するデバイスを構築する。また、デバイスの生体内での長期安定性評価のために、1カ月の慢性動物実験に挑戦する。
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Research Products
(3 results)