2015 Fiscal Year Annual Research Report
生細胞中におけるヒトテロメアG-四重鎖の形成ダイナミクス
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14J06987
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 敦志 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 核酸の構造変化 / グアニン四重鎖 |
Outline of Annual Research Achievements |
生細胞内にDNAや有機分子といった外因性物質を導入する際、エンドサイトーシスという機能が重要な働きを担う。エンドサイトーシスでは、外因性物質が細胞膜由来のリン脂質膜に包まれ、小胞として細胞内に導入される。つまり、導入した物質は直接に細胞質内へと分散するわけではなく、カプセルに包まれた状態で細胞質内を運搬される。この小胞はエンドソームと呼ばれ、細胞内の別の特殊な小胞体と融合する。その内部では内包物を加水分解する環境が整えられ、取り込まれた外因性物質は原則的に分解されてしまう。外因性のDNAオリゴマーの構造変化を生細胞中で観察するためには、細胞内での分解を回避しなければならない。 核酸を生細胞へ導入する方法として、リポフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクションの3つの方法が主に用いられる。リポフェクションでは核酸の構造変化が荷電脂質に影響される可能性が高い。マイクロインジェクションでは、基本的に一回の操作で一つの細胞にしか導入できない。上記二つの方法と比較して、電気パルスによって細胞膜を瞬間的に穿孔して分子を導入するエレクトロポレーションは本研究に最も適した方法と考えられる。しかし、実際に蛍光標識したグアニン四重鎖形成DNAオリゴマーを、エレクトロポレーションによってHeLa細胞へ導入したところ、細胞内の小胞に局在する結果が得られ、エンドソームの影響の可能性が排除できなかった。 そこで私は、光照射によってリン脂質膜を分解あるいは穿孔できるような膜色素を開発し、細胞内小胞中から細胞質へと外因性のDNAオリゴマーを放出させることはできないかと考え、ペリレンジイミド(PDI)をベースとした膜染色色素を新規合成した(未発表)。現在、この色素が細胞膜へ与える影響を追究し、生細胞の蛍光イメージングへの適用可能性を探索している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
生細胞へ外因性DNAオリゴマーを導入すること自体は容易だが、その後の構造変化を正しく解析するためにはエンドソームの影響をうまく排除しなければならない。この問題の解決に多大な時間を取られ、研究が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
光照射によってリン脂質膜を分解あるいは穿孔できるような膜色素を開発し、初期のエンドソームから細胞質へと外因性のDNAオリゴマーを放出させるような方法を確立する。すでに第一世代としてペリレンジイミド(PDI)をベースとした膜染色色素を新規合成したため(未発表)、この色素が細胞膜へ与える影響を追究し、生細胞の蛍光イメージングへの適用可能性を探索する。その後、この色素を用いて、細胞内に外因性DNAをうまく拡散させる方法を最適化し、生細胞内におけるヒトテロメア単鎖DNAのG-四重鎖形成ダイナミクスを明らかにする。
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Research Products
(1 results)