2014 Fiscal Year Annual Research Report
プロテインキナーゼCDKL5の新規基質に着目したRett症候群の発症機構の解明
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14J07002
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
片山 将一 愛媛大学, 連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | Protein kinase / CDKL5 / Amphiphysin1 / 基質特異性 |
Outline of Annual Research Achievements |
Cyclin-dependent kinase-like 5 (CDKL5)は主に脳に発現するSer/Thrプロテインキナーゼである。CDKL5遺伝子の変異によるCDKL5活性の消失は、Rett症候群を始めとした様々な精神発達遅延を伴う発達障害を引き起こすことが知られている。従って、CDKL5によってリン酸化される分子を探索することはRett症候群の発症メカニズムの全貌を明らかにするうえで大変重要な課題である。近年私たちの研究により、CDKL5によって効率よくリン酸化されるタンパク質としてAmphiphysin1(Amph1)が同定された。現在までに、Amph1ほどCDKL5によって効率よくリン酸化される基質は見つかっていないが、そのような基質タンパク質が存在する可能性も十分に考えられる。更なるCDKL5の基質タンパク質を探索するためにも、CDKL5の基質認識メカニズムについて明らかにすることは重要な課題である。そこで本研究では、Amph1をモデル基質としてCDKL5の基質認識メカニズムについて解析を行った。 CDKL5と似た構造を持つプロテインキナーゼであるDyrk1AやERK2とCDKL5の基質特異性を比較したところ、CDKL5はDyrk1AやERK2と比べて厳密な特異性を示した。CDKL5の認識配列について詳細な解析を行うために、Amph1の様々な点変異体を作製し実験を行ったところ、CDKL5の認識配列がR-P-X-S-Xであることが明らかになった。さらに、Amph1分子内のCDKL5によって認識されるために重要な領域を決定したところ、Amph1の315-386の領域内に存在するCLAP領域がCDKL5によってリン酸化されるために重要であると明らかになった。これらの研究成果は、CDKL5の新規ターゲット分子の探索を行うための有益な情報となると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究成果をもとに複数回の学会発表および、論文投稿を行うことができているため。また、本年度の研究成果をもとに、CDKL5のRett症候群発症メカニズムの解明の研究に着手できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はゼブラフィッシュのCDKL5を用いて、CDKL5-Amph1シグナルが生物種間で保存されているかの解析および、アンチセンスモルフォリノオリゴを使用した遺伝子ノックダウン実験によって、CDKL5の個体レベルにおける機能解析を行いたいと考えている。
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Research Products
(5 results)