2014 Fiscal Year Annual Research Report
相互作用に伝送遅延を含む結合振動子群に生じる安定化現象の解析とその応用
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14J07041
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
杉谷 栄規 大阪府立大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 結合振動子 / 非線形 / 振動停止現象 / 遅延結合 / ロバスト制御理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,以下の仕様(b), (c)に着目し,結合振動子群に振動停止現象を誘発する相互作用の設計を検証した.仕様:(b)様々な要素に対応する;(c)大規模なシステムにも対応可能にする. ・仕様(b)について 振動子間の相互作用に不安定なダイナミクスを挿入することで,振動停止現象の奇数制約が解消できることを発見した.これにより,これまでは振動停止の誘発ができなかった結合振動子群に対しても,誘発可能になった.まずは,最も簡単な2個の振動子が結合した系で,不安定なダイナミクスの挿入により奇数制約が解消できることを確認した.次に,リング状に振動子を結合した系を考え,同様に奇数制約の解消を確認した.しかし,現状の相互作用では,振動子の数とそれらを結ぶ結合の本数が等しいネットワーク構造でないと奇数制約を解消できない.したがって,ネットワーク構造に依らず,奇数制約を解消できる相互作用の提案が,今後の課題である.また,上記の研究では,解析を簡単にするため,相互作用に伝送遅延を考慮していない.今後,伝送遅延を考慮した結合振動子モデルで奇数制約の解消を考える必要がある. ・仕様(c)について ロバスト制御理論のパラメトリックアプローチを利用し,振動停止現象を誘発する相互作用の設計手順を提案した.この手順に従い設計された相互作用は,ネットワークの構造や振動子の数に関係なく振動停止現象が誘発可能である.したがって,本設計手順は,ネットワーク構造などが未知の大規模で複雑なシステムにも適用可能である.ただし,この設計手順は,奇数制約を満たす振動子から構成される結合振動子へは,適用できない.今後,上記の仕様(b)に関する研究と合わせて,設計手順の改良を考える必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の課題は,以下の3仕様を満たす設計手法の提案である. 仕様:(a)外乱やノイズに対して頑強にする;(b)様々な要素に対応する;(c)大規模なシステムにも対応可能にする.
このうち,現在までに課題(b),(c)の検討が大方できているため,研究の進捗は順調である.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに,仕様(b)を満たす相互作用を提案したが,まだ以下のような問題点がある. 現状の相互作用では,振動子の数とそれらを結ぶ結合の本数が等しいネットワーク構造でないと奇数制約を解消できない.したがって,ネットワーク構造に依らず,奇数制約を解消できる相互作用の提案が,今後の課題である.また,上記の研究では,解析を簡単にするため,相互作用に伝送遅延を考慮していない.今後,伝送遅延を考慮した結合振動子モデルで奇数制約の解消を考える必要がある.
また,仕様(c)を満たす相互作用の設計手法の提案を行ったが,まだ以下のような問題点がある.現在の設計手法では,奇数制約を満たす振動子から構成される結合振動子へは,適用できない.今後,上記の仕様(b)に関する研究と合わせて,設計手順の改良を考える必要がある.
また,現在までに考慮できていない仕様(a)に関しても,同期現象の初期値領域に関する先行研究等を参考にして,今後検討してきたい.
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Remarks |
所属研究室では,学生の成果や発表などをwebページにまとめて掲載している.
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Research Products
(8 results)