2014 Fiscal Year Annual Research Report
再生医療本格化に向けた上皮-間充織相互作用と分化機構の解明
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14J07346
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
亀石 統子 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 角膜 / 創傷モデル / Side population / 組織修復 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、角膜上皮再生医療を普及させるため、角膜上皮幹細胞の分化、維持機構を解明することで本治療法の有効性を示すことを目指し、以下2つの研究課題に取り組んだ。 (1) 白色家兎を用いた角膜上皮組織修復過程の解析 白色家兎の眼組織を用いて、分化細胞が存在する角膜上皮と未分化細胞が存在する輪部上皮を切除した角膜上皮欠損モデルを作製し、組織再構築過程を解析した。特に上皮細胞と、その直下に存在し上皮細胞の分化や増殖を制御するニッシェであると考えられる基底膜に着目して解析を行った。長期観察の結果、未分化細胞が存在すると考えられている輪部組織に類似した構造がモデル眼表面に再構築される可能性が示され、本モデルは角膜上皮幹細胞ニッシェの解析に有用なモデルとなることが示唆された。さらに再構築された輪部様構造中には上皮と間葉系細胞マーカーを共発現する細胞が存在し、上皮-間充織転換が誘導されることが示唆された。 (2) 白色家兎輪部上皮SP細胞(Side Population Cells) 角膜上皮欠損モデル眼表面の解析から、未分化細胞が存在すると考えらる輪部様構造中では上皮細胞が間葉系の表現型を獲得することが示唆された。そこで角膜上皮幹/前駆細胞の表現型の解明をめざし、SP細胞に着目した。これは特異的抗体を用いず、核染色に使用されるHoechst 33342 を用いた染色により同定された細胞である。輪部上皮 SP 細胞を分取し、次世代シークエンサーを用いた遺伝子発現解析の結果、SP細胞は上皮細胞というよりはむしろ血管内皮/間葉系細胞の表現型を有する未分化細胞であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
角膜上皮欠損モデルの長期観察の結果、輪部組織様構造がモデル眼表面に再構築される可能性が示された。さらに再構築された輪部様構造には上皮と間葉系細胞マーカーを共発現する細胞が存在し、上皮間葉移行と組織修復機構の関連が示唆できた。これらの成果は学術論文Laboratory Investigation に掲載された。 また、輪部上皮SP細胞における次世代シークエンサーを用いた遺伝子発現解析の結果、SP細胞は上皮細胞というよりはむしろ血管内皮/間葉系細胞の表現型を有することが示唆された。これは今までの上皮幹/前駆細胞の知見とは異なる新しい所見となる可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
次世代シークエンサーを用いた遺伝子発現解析により抽出された輪部上皮SP細胞マーカー候補遺伝子を選出できたことをもとに、次年度は特異的抗体を用いて標的細胞を分取し、その細胞の正常解析を行う。白色家兎では使用可能な抗体が極めて少ないため、検討が困難である場合は、ヒト、マウス、ラットの角膜組織を用いて解析を行う。 また、上皮組織下に存在する血管内皮細胞や間葉系細胞に焦点を当てた検討も行う。
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