2015 Fiscal Year Annual Research Report
ロジウム触媒を用いたトリフェニレン骨格構築を鍵とする新規発光材料の創製
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14J07502
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
村山 浩一 東京工業大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | ロジウム / [2+2+2]付加環化反応 / アルキン / トリフェニレン / ヘリセン / らせん不斉 / ベンゾピセン / 円偏光発光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究では主として、カチオン性ロジウム(I)/ビスホスフィン系錯体触媒を用いた [2+2+2]付加環化反応によるトリフェニレンまたはベンゾピセン骨格を有する[7]および[9]ヘリセンの不斉合成を検討した。(1)[7]ヘリセンのマクマリーカップリングによるトリフェニレン骨格を有するX字型ダブルヘリセンの合成。上記に関しては想定の反応は進行しなかったものの、以下のような研究の進展があった。 (2)ビナフチル架橋ジインとアルキンまたはニトリルとの[2+2+2]付加環化反応によるベンゾピセンおよびアザベンゾピセン誘導体の合成(3)[9]ヘリセンの不斉合成のためのビナフチル架橋テトラインとジインとの[2+2+2]付加環化反応におけるエナンチオ選択性の向上 (3)に関して、配位子、基質などの条件検討を行ったところ、[2+2+2]付加環化反応のエナンチオ選択性が向上した。また、その際にこれまでとは異なる選択性を示す反応が進行することを見出した。現在、(3)のヘリセンの誘導を検討中であり、その後、円偏光発光特性を測定する予定である。そこで構造と物性の相関を得ることで、より円偏光発光特性が高い有機化合物の創成につながると期待できる。 以上の研究において、カチオン性ロジウム(I)/ビスホスフィン系錯体触媒の優れた特性を最大限に活かすことにより、従来の触媒系では実現することができなかった高選択的な新規反応の開発に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(2)に書いたようにヘリセンの部分骨格であるベンゾピセンおよびアザベンゾピセン誘導体の合成およびラダー化合物合成への応用を行った。(3)に示したようにビナフチル架橋テトラインと1,4-ジインとの[2+2+2]付加環化反応の収率の向上はほとんどなかったものの、エナンチオ選択性の向上が見られた。 一方、(1)のマクマリーカップリングによるトリフェニレン骨格を有するX字型ダブルヘリセンの合成では、置換基の検討を行ったが、目的の反応は進行しなかった。また、マクマリーカップリングの他に強塩基を作用させてから脱水する方法、ローソン試薬を用いた方法も検討したが、目的物は得られなかった。また、研究実施計画に書いたもの、S字型及び3字型ダブルヘリセンの段階的な不斉合成に関しては、ほとんど取り組むことができなった。以上のことから、現在までの進捗状況はやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
(4)のベンゾピセン骨格を有する[9]ヘリセンの誘導を完了し、共同研究により円偏光発光測定を行う。また、引き続きトリフェニレン骨格を有するX字型ダブルヘリセンの合成を検討する。その際に、まずはヘリセンでなくフルオレノンなどのモデル化合物を用いて、検討を行い知見を得てから、ヘリセン合成に応用することとする。また、マクマリーカップリングにこだわらず様々な方法を検討する。研究実施計画に3字およびS字型ダブルヘリセンの不斉合成と書いたが、S字型ヘリセンの方がより円偏光発光特性の向上が期待されるため、そちらを優先的に取り組むこととする。S字型ダブルヘリセンの不斉合成のためにヘキサインまたはオクタインそれぞれに置換基を導入し、段階的に[2+2+2]付加環化反応を行うことを検討する。
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Research Products
(4 results)