2014 Fiscal Year Annual Research Report
冗長方向を含むシナジー制御・学習モデルの構築とBMI制御への応用
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14J07576
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Research Institution | Advanced Telecommunications Research Institute International |
Principal Investigator |
東郷 俊太 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | シナジー / UCM解析 / 冗長性 / 協調運動 / 運動指令 / 信号依存ノイズ / 関節スティフネス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、人間の冗長方向の制御方策を調べることによって、冗長方向を含んだシナジー制御・学習モデルを考案し、脳活動情報を用いて冗長ロボットアームを制御するBMI制御へと応用することである。本年度は、BMI制御に協調制御を応用する際に重要となる、運動指令の協調に関する研究を実施した。観測した筋張力の試行間のばらつきから、筋骨格系の特性の一つである信号依存ノイズの影響を取り除いたばらつきの分布を運動指令の分布と見なし、その協調関係をUCM解析によって定量的に評価した。シミュレーション実験によって、信号依存ノイズの特性が筋張力の協調関係を形成することがあることを示し、提案した方法によって運動出力から運動指令の協調関係を評価できることを示した。計測実験によって、被験者が左右の肘トルクの合計値をある一定の値にするタスクを繰り返し行った際、合トルクの値を安定化させるために運動指令を協調させていたことが提案法によって明らかになった。さらに、運動学習のタスクに提案法を適用した結果、短期間の運動学習によって変化する運動出力の協調の変化の大部分は運動指令の協調の変化であることを示した。これらの実験結果によって提案法の有用性が示された。本研究で考慮した運動出力の協調と運動指令の協調の関係は、シナジー制御モデルをBMI制御へ応用する際に重要になることに加え、シナジーの神経基盤を探る際にも重要な手がかりとなると考えられる。また、冗長方向の運動制御方策を調べる実験として、随意的な共収縮が冗長方向の運動軌跡にどのような影響を与えるのかを調べた。その結果、共収縮による随意的な関節スティフネスの増大は冗長方向の運動軌跡に影響を与えないことを示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はBMI制御の応用に関連する運動指令の協調評価手法の研究の実施、及び初年度に行う予定であった冗長方向の制御方策を調べる計測実験を実施した。両研究課題共に学会での成果発表を行い、運動指令の協調評価手法の研究に関しては学術論文への投稿準備を行っている。以上の点より、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度では、インピーダンス計測による冗長方向の制御方策の定量的評価、及びシナジー制御モデルの構築に取り組む。インピーダンス計測の実験に関しては、実験系の構築及び予備的な運動計測実験に関してすでに完了しており、摂動のパターンなどの実験条件をより詳細に検討することを行う。また、シナジー制御モデルの構築に関しては、従来の制御モデルの拡張による構築を目指す。その際に、これまで行ってきた心理物理計測実験の知見を考慮する。さらに先の計画にある、冗長方向の運動をどのように学習しているのかを実験的に調べ、学習モデルを構築することも予備的に行う。冗長方向の制御方策を調べる実験系をそのまま応用できる、運動学習実験のパラダイムを考案し、実験を行う予定である。
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