2014 Fiscal Year Annual Research Report
市民ランナーが安全で快適なランニングを行うための多角的な運動指針の作成
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14J07604
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
森 寿仁 鹿屋体育大学, スポーツトレーニング教育研究センター, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | マラソン / トレイルランニング / ウルトラマラソン / 練習量 / 経験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度(H26年度)は,市民マラソン大会を対象とした実態調査(研究1),ウルトラマウンテンランニング大会を対象とした出場選手の特徴とレース中の身体変化(研究2)について検討を行った. 研究1では,市民マラソン大会を完走したランナーを対象に年齢,身体特性,フルマラソンの出場回数,日頃の練習状況などの聞き取り調査を行った.その結果,これまでの先行研究で用いられているような生理学的な指標(最大酸素摂取量,乳酸性作業閾値)でなくとも,簡単に知りうる,年齢,体格、マラソン出場回数,練習量から,マラソンパフォーマンスを精度良く推定することできた. また,実際に本研究で作成した推定式と先行研究でしばしば用いられている重回帰分析による推定式の精度について比較したところ,本研究の推定式の方が精度良く,さらに系統誤差も見られなかった.すなわち,本研究の推定式は今後の練習の目標値作成や大会当日のレースペースの設定が容易にできるといった汎用性を持つものといえる. 研究2では,日本国内で最も厳しいとされるウルトラマウンテンランニング大会を対象として,その大会の参加者の特徴やレース中の身体変化などについて明らかにした.測定項目は,体重,体脂肪率(キャリパー法)とし,レースの前後で測定した.またレース後に,大会前過去6か月間の練習状況,主要山岳耐久レースの自己記録,レース中のトラブルの有無とその程度をアンケート用紙に記入させた. その結果,本大会の参加選手はBMI,皮下脂肪厚から見ると,一流マラソンランナーよりも高いものの,一般的なウルトラマラソンランナーよりは低かった.また,レース前後で体重にはほとんど変化が見られなかったのに対し,体脂肪率は大幅に減少していた.これらの知見は市民マラソンランナーのランニングの発展にともなう目標値になりうると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在のところ,フルマラソン大会の実態調査についての資料は収集することができており,この計画は当初の予定通りである.また,その実態調査に基づいた研究が2015年3月に行われた第27回ランニング学会大会で優秀発表賞を受賞することができた.これはランニング界にとって重要な知見であると評価されていることを示すものである. また,ウルトラマウンテンランニング大会における生理応答についても学会発表登録受理済みであり,おおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,市民マラソン大会参加者のレース中およびレース後の身体変化について明らかにするとともに(研究3),100kmウルトラマラソン大会やトレイルランニング大会に参加する選手の身体的特徴やレース前後の身体変化(研究4)について明らかにすることが必要である.そのためには,ラボ実験が必要となるとともに,今後もさまざまな大会に出向いて実態調査を行うことが必要である. そして,それらの蓄積データから,市民ランナーが安全で快適なランニングを行うための運動指針を作成する予定である.
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Research Products
(17 results)