2016 Fiscal Year Annual Research Report
1分子・多分子計測の相互理解から展開する新しいナノバイオサイエンス
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14J07839
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松下 祐福 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 過飽和溶液 / 溶液中局所ダイナミクス / 分子間クラスター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、DXT (X線1分枝追跡方)と DFM(暗視野顕微鏡) を用いて、無機および、タンパク質過飽和溶液のナノスケール溶液ダイナミクス観察を行った。本実験結果より、過飽和溶液中には非常に小さい局所力場(fN - aN スケール)が存在することが明らかとなった。 この動的特性は、過飽和溶液中に含まれるネットワーク明滅を繰り返す動的過程を直接的に反映した場の特性であると考えられ、この場は、過飽和溶液からの結晶化現象の理解やその制御研究に貢献すると考えられる。 さらに、我々は、SAXS による酢酸ナトリウム過飽和溶液中に含まれる構造体のナノスケールサイズの推定や、CD 測定を用いた、リゾチーム過飽和溶液中のリゾチーム分子内構造を計測することで、およそ数十 nm 程度で存在すると考えられているリゾチームクラスター内部の分子内構造を反映する重要な構造変化を取得することに成功した。 また、DLS(動的光散乱法)を用いて、過飽和条件下におけるリゾチーム分子の凝集体形成観察実験を行った。本結果より、自発的な核形成を伴う過飽和条件下(4℃)において、2-3量体のクラスターサイズに相当する散乱強度変化を確認した。このことは過飽和条件下におけるリゾチーム分子間の核形成過程がリゾチーム分子間クラスターを経由することで、進行することを明らかにした。 本結果は、現在まで平均情報として埋もれてしまっていた溶液中の密度揺らぎや、ネットワークの動的特性が、局所的な溶液状態に顕在化していることを示すものである。このことは、現在まで未解明な部分の多い、結晶化や核形成プロセス研究において、溶質分子群の動態と、その局所振る舞いの理解を促し、今後その現象解明に大きく貢献していくものと期待される。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)