2014 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエの産卵行動を誘導するコマンドニューロンの同定と機能解析
Project/Area Number |
14J07885
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
原 佑介 東北大学, 生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 神経行動学 / 遺伝学 / 性行動 / ショウジョウバエ / 電気生理 / ニューロン / 筋肉 |
Outline of Annual Research Achievements |
感覚情報と生理的シグナルがどのように統合され行動の意思決定が下されるのか、その内的機構の解明をめざし、本研究ではショウジョウバエの産卵行動に着目してその行動を司令するコマンドニューロンの生理的機能を電気生理学的手法で解明する事を目標としている。本年度は1. 胚筋肉を用いた電気生理学実験、2. in vivo脳(中枢ニューロン)用実験システムのセットアップ及び電気生理学実験を行った。 1. 技術的難易度の高いin vivo中枢ニューロンでの実験に備え、まず当研究室で手法が確立されている胚神経筋接合部を用いた実験を行った。過去に胚筋肉の膜興奮を担うイオンチャネルの機能については詳細な報告が無かったため、本実験ではその特性を詳細に調べた。ホールセルパッチクランプ法による解析を行った結果、胚筋膜の活動電位の発生に寄与する内向き電流は解離定数が小さく、極めてゆっくりとした不活性を示す高閾値L-typeカルシウムチャネルが媒介することが明らかとなった。実際にショウジョウバエのL-typeカルシウムチャネルをコードするDmca1Dの変異体では内向き電流は完全に消失した。この研究成果は論文にまとめ、現在査読中である。 2. 続いて、in vivo中枢ニューロンからの記録のための実験システムの構築を行った。潅流装置、エアレーション装置の導入など実験結果を参照しつつ逐次システムの改良を進め、最終的に中枢ニューロンからの記録に成功した。また、Gal4/UASシステムを用いてマーカー標識した特定の標的ニューロンを狙った記録にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備的実験として行った胚筋肉の研究において内向き電流を媒介するカルシウムチャネルの詳細な特性解析を行い、その成果を論文にまとめることができた。続いて、中枢ニューロン用の実験装置のセットアップを完了し、さらに本研究課題で最大の難所と予想された中枢ニューロンからの記録にもすでに成功した。研究は段階的かつ着実に進んでおり、27年度以降は本研究課題が目標とする中枢ニューロンでの実験において大きな成果が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
in vivoでハエの脳から単一ニューロンの活動を記録するシステムはすでに構築された。今後は標的とするコマンドニューロンをGal4/UASシステムを用いて可視化して記録を行い、そのニューロンの基本的な生理機能を明らかにしていく。また、種々の感覚刺激や経験を与えたときにそのニューロンがどのように応答するのか、あるいはその生理機能がどのように変化するのかを詳細に解析していく。ハード面では電気記録、感覚刺激の提示、ビデオによる行動記録を同時に制御・計測するシステムが必要となる。これに備え26年度にLabviewソフトウェアを購入しており、27年度内の早い段階で実験環境を整備する予定である。
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Research Products
(1 results)