2014 Fiscal Year Annual Research Report
デザイン型キノン触媒を用いたフルオロホルムによる不斉トリフルオロメチル化法の開発
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14J07897
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
大楠 賢 名古屋工業大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | フッ素 / 不斉トリフルオロメチル化反応 / フルオロホルム / 有機塩基 |
Outline of Annual Research Achievements |
フルオロホルムを用いた不斉トリフルオロメチル化反応を実現するために,まずキノンへのトリフルオロメチル化反応を検討することとした。しかし,フルオロホルムを用いてトリフルオロメチル化反応を行ったが,予想とは反し目的とするトリフルオロメチル化体を得ることができなかった。そのため,不斉合成を行うための足掛かりとなる有機超塩基の触媒化へと着手することとした。実際に,添加剤としてトリス(トリメチルシリル)アミンを用いることで有機超塩基の触媒化に成功した。これは,有機超塩基がトリフルオロメチルアニオンの安定化に寄与し,トリス(トリメチルシリル)アミンの脱シリル化体がフルオロホルムの脱プロトン化を行っている。今後は,光学活性なホスファゼン塩基を用いるか,もしくは光学活性なホルムアミドを用いることにより不斉反応への展開を行う。 また,フルオロホルムを用いたジフルオロメチル化反応も開発することができた。トリフルオロメチルアニオンは不安定であるため,急速にフッ素アニオンとジフルオロカルベンへと分解する。これは,炭素-フッ素結合距離が短く,フッ素原子の大きな電気陰性度によりアニオンの電荷とフッ素原子のp電子との反発によるものである。しかし,このトリフルオロメチルアニオンから発生したジフルオロメチルカルベンをうまく使えばジフルオロメチル含有化合物を合成できるはずである。そこでフルオロホルムを用いた末端アセチレンへのジフルオロメチル化反応を検討することとした。種々検討を行った結果,加熱条件下,フルオロホルム,塩基としてカリウムtert-ブトキシドを用いて反応を行ったところ中程度の収率で目的とするジフルオロメチル化体を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回,不斉反応の足掛かりとなる有機超塩基の触媒化に成功した。また,現在までに数%であるがエナンチオ選択性が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
最近,光学活性なホルムアミドを用いることにより,若干ながらエナンチオ選択的なトリフルオロメチル化反応が可能であることを見出した。今後,ホルムアミドの構造を変換することによりエナンチオ選択性の向上を目指す。
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Research Products
(6 results)