2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J07905
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
北村 亮真 関西学院大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | ネットワーク外部性 / カニバリゼーション / 多製品生産企業 / スマートフォン産業 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は主に、昨年度末の研究論文“Cannibalization may Allow a Cost-inefficient Firm to Earn more than a Cost-efficient Firm in a Duopoly,”(Discussion Paper No.113)と、自身の研究テーマであるスマートフォン産業に関する研究論文の報告と、改訂に努めた。 前者のカニバリゼーションに関する研究論文は、当該分野に関連する研究者の方々から有益なコメントを頂き、改訂を重ねることで現在この論文は“Cannibalization within the Single Vertically Differentiated Duopoly,” (Discussion Paper No.124)として査読付専門国際学術誌に投稿中である。さらに、この研究論文の拡張として、企業の戦略的な生産ラインの選択を考慮したモデルの分析をまとめ、“Strategic Choice on Product Line in Vertically Differentiated Duopoly,” (Discussion Paper No.120)として研究論文にした。この研究論文では、どのようなパラメータの範囲で各企業が生産のバラエティを決定するのかを導出している。 後者のスマートフォン産業に関する論文は、“Cost Reduction can Reduce Profit and Welfare in a Monopoly,”として、この財内のネットワーク外部性が働くMPF市場に関する研究論文としてまとめ、現在、査読付専門国際学術誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
博士課程前期課程から取り組んできたテーマである「スマートフォン産業の理論的分析」を研究してきたが、その中で、自身の扱う「財内のネットワーク外部性を伴う多製品生産企業の市場」というのは、現実の経済ではスマートフォン産業以外においても多々存在することから、研究テーマの拡張を行い、「財内のネットワーク外部性を伴う多製品生産企業の市場分析」というテーマで2014年度後半から分析を進めている。特に、研究計画が遅れている原因のひとつとしては、寡占市場の分析の煩雑さにある。本研究では、多製品生産企業という複雑な市場形態の分析の中に、財内のネットワーク外部性という要素を組み込むことで当該市場の性質を明らかにしようとしているものである。よって、寡占市場の分析の際には、財内のネットワーク外部性が市場均衡の性質にどのような影響を与えるのかという効果と、企業の競争が市場均衡に与える影響が混在してしまう。このことを避けるために、独占市場をまず分析し、その性質を明らかにした。その結果、均衡概念の性質がこの市場結果に大きく影響を与えることが判明したが、この理由に関する解釈に2014年度は多大な時間がかかってしまい、当初の研究計画の進度とは少し遅れをとっていることになる。また、独占市場にすることで、見えてきたこのモデルの性質を今後の研究に生かしていきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度の取り組むべき課題は ①ネットワーク外部性がない市場での多製品生産企業の理論的分析 ②垂直的差別化財における財内のネットワーク外部性を伴うMPF市場の分析 ③水平的差別化財における財内のネットワーク外部性を伴うMPF市場の分析である。 とくに③に関してこれまでの研究では、財の品質が異なる垂直的差別化モデルを扱ってきたが、消費者の選好(好み)が異なる水平的差別化のMPF(多製品生産企業)モデルに上記の財内のネットワーク外部性を組み合わせて分析する。現実の経済においても、この水平的差別化の市場は多数存在していることから、その分析を試みる必要がある。垂直的差別化のケースと同様、まずは独占市場から始め、経済学的な知見からその性質を明らかにすることを目標とする。特に、垂直的差別化のケースと比較し、異なることがいえるかどうか、もしくは同様の命題がいえた場合、どのようなメカニズムでその命題が成立しているのかを解明する必要がある。 また、上記①~③をそれぞれ研究論文にまとめ、査読付専門国際学術誌に投稿予定である。さらに、2015年度は研究博士論文を目標に、関連する文献のサーベイを適切に行い、その執筆を目標とする。2014年度同様、国内外の研究会での研究報告を積極的に行い、自身の研究と成長に生かしたいと考えている。
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Research Products
(5 results)