2014 Fiscal Year Annual Research Report
仮想現実空間を用いた体性感覚弁別学習における大脳皮質フィードバック回路の機能解明
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14J07930
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
太田 桂輔 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 局所神経回路 / カルシウムイメージング / 細胞外記録 / オペラント条件づけ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、マウス後肢脳領域に対応した二次運動野から一次体性感覚野へのフォードバック回路の機能的役割を明らかにすることを目的としている。本研究課題の初年度にあたる本年度は、①マウスの脳を固定した状態で体性感覚刺激の検出課題を構築した。この行動課題では、試行開始と同時に合図(視覚刺激)が与えられ、その後に後肢刺激が与えられる。マウスが後肢刺激に反応(リッキング:給水口を舐める行動)すれば報酬(水)が与えられる。トレーニング初期段階ではマウスは試行開始合図に反応するが、トレーニングを重ねるとその合図には反応せずに後肢刺激後に反応するようになった。足刺激後の反応率はトレーニング2週間後には、およそ100%となった。この結果はマウスが視覚刺激と後肢への体性感覚を弁別していることを意味し、後肢刺激がマウスの反応を統制しいることを示している。②行動課題中のマウスから慢性経頭蓋広視野カルシウムイメージングを行った(単一神経細胞の活動ではなく神経細胞集団の活動を記録した)。本行動課題に関与する皮質脳領域を同定することができた。視覚刺激に対しては一次視覚野、後肢刺激に対しては一次体性感覚野後肢領域が活性化し、共に前頭前野に神経活動が伝搬する。更に行動課題の学習初期に比べて課題学習が進むと、後肢刺激に対する一次体性感覚野と二次運動野の神経応答が上昇するという結果を得た。一方、視覚刺激応答は変化しなかった。③行動課題中のマウスから細胞外記録を行った。より詳細な解析が今後必要であるが、一次体性感覚野5層では足刺激に対して活動が上昇する神経細胞、減少する神経細胞がそれぞれ存在し、足の動きとも相関を示す神経細胞の存在を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
行動課題中のマウスからの慢性経頭蓋広視野カルシウムイメージング、細胞外記録とそのデータ解析環境・手法を確立したため。本研究で用いる細胞内記録・細胞外記録手法に関する論文が二件、学術雑誌に採択および掲載されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
①行動課題中のマウスの一次体性感覚野と二次運動野から同時細胞外記録を行い、活動電位と局所フィールド電位を記録する。二次運動野の活動と一次体性感覚野の活動との相関・因果関係を推定し、二次運動野と一次体性感覚野で表現されている情報を評価する。②課題中のマウスの行動をより詳細に評価する。後肢刺激強度も変化させて、反応率や反応速度を計測する。さらに光遺伝学的手法によるフィードバック回路の制御によって、マウスの行動がどのように変化するか調べる。
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[Presentation] マウス体性感覚野における触覚の脳内表現の解明に向けて2014
Author(s)
鈴木崇之, 本間千尋, 鴨志田敦史, 山田一之, 太田桂輔, 茂泉俊次郎, 犬束歩, 山中章弘, 織田充, 山川宏, 村山正宜
Organizer
第37回 日本神経科学大会
Place of Presentation
パシフィコ横浜
Year and Date
2014-09-11 – 2014-09-13
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