2015 Fiscal Year Annual Research Report
ポジティブ/ネガティブマーカーを用いたタンパク質分泌経路の進化工学
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14J08165
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
池 紘平 千葉大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | genetic selection / genetic switch / quorum-sensing / synthetic biology |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,マーカータンパク質が細胞内から分泌されたか否かを"数分の操作だけで"細胞死に対応づけることができるポジティブ/ネガティブ選択法を用いて,異種タンパク質の生産システムとして有望視されているTat分泌システムの分泌効率の向上 / シグナル配列の認識特異性改変をめざす.本年度は,機能選抜に利用する改良型マーカー遺伝子を利用して,Expression system (遺伝子スイッチ) の機能改良/多様化を試みた。 大腸菌内でも機能するよう機能改変したAgrobacterium tumefaciens由来のQSアクティベータTraR (前年度実績) とその他宿主由来のQuorum-sensing レギュレータ (LuxR/LasR/RhlR) の標的DNA認識・シグナル認識チャンネルにおける混線の有無を調べた。この結果,TraRはDNA認識において他と高い直交性を示すが,シグナル認識においては幅広くクロストークを示すことがわかった。そこで,TraRに対しランダム変異を導入し,その制御化に改良型マーカー遺伝子を配置した。そして,ネガティブ/ポジティブ選択を行うことによって,3種システムとシグナル認識・標的配列の両面で直交性の高いTraシステムをそれぞれ構築した。また,遺伝子発現/タンパク質生産系の工業化を見据え,大腸菌由来のコリン(Choline)応答性レギュレータBetIとT7 phage由来の遺伝子転写システムを組み合わせた,誘導物質の安全性/コストおよび,”self-cloning”に分類される法的な組み換えルールという制約を満たす遺伝子スイッチの開発も達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究においてわれわれが開発したセレクション法は,従来に比べてFalse Positive / False Negativeが少なく,より細胞内におけるマーカータンパク質の存在の有無(細胞内から分泌されたか否か)と細胞の生死の対応付けを強固にするものである。本年度はこれを用いて,独立制御可能な多チャンネルの遺伝子スイッチシリーズを開発した。この結果は,分泌システムのシグナル配列の認識特異性改変に,本手法が有効であることを示すとともに,対象とした遺伝子スイッチ (quorum-sensingシステム)の非誘導時の漏出発現が少なく,誘導試薬の量に応じて,標的遺伝子の発現量を任意に制御可能であることから,今後の研究における対象遺伝子の精緻な発現制御に資するものである。これら成果のうち一つはフルペーパーとして発表しており,もう一方においても投稿予定である。現在,これら信頼できるツール(セレクションおよび発現制御系)を使って,未開拓な研究対象(分泌系の改良:遺伝子スイッチの遷移速度)の進化デザインに着手したところであり,順調な準備状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は,研究計画調書に記載した計画通り,Tat分泌システムの多世代にわたる実験室内進化を行う。また,そこで得られた分泌装置の生化学解析(分泌生産)およびシーケンス解析を行い,分泌効率向上/シグナル配列特異性に影響し得るアミノ酸部位などの特定を試みる。
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Research Products
(2 results)