2014 Fiscal Year Annual Research Report
イノベーション及び学術研究活動に関わる人的資本の育成についての実証分析
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14J08184
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
菊地 雄太 横浜国立大学, 国際社会科学研究院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 大学院教育 / 人的資本 / 高等教育 / 知識移転 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は自己選択効果について対処した上で、イノベーションの担い手としての人的資本の育成において指導者の果たす役割を定量的に明らかにすることである。そのために、初等中等教育において教員の影響力を測定する方法として開発されたvalue added modelの手法を拡張し、大学院レベルの指導教官から学生への教育指導効果を測定できるようなモデルを構築した。この手法の特徴としては、指導教官と学生のマッチングによる内生性の問題に対処した上で、教官の観察不可能な影響力の効果の部分についても含めて推定できる点である。 それと並行して以上のモデルの推定に用いるためのデータを作成した。研究者の業績を測定しなければならないが、その際に計量書誌学的な手法を応用した。第一に研究者業績を識別する際に、同姓同名の著者の可能性を排除するためのいくつかのアルゴリズムを試し、実装した。第二に、論文内での研究者の貢献度を図るため、著者の順番によってウェイトの異なるようなアウトプットの作成方法を実装した。これまでの研究では、この二点はあまり考慮されておらず、アウトプットの作り方としても新規性がある。 作成したデータを踏まえて推定を行ったが、実際に、教員の影響力は大学院修了後直近において有意に存在することが示された。先行研究では、大学レベルの大学院教育、というものが先端研究にかかわる人的資本の蓄積に与える影響を分析したが、個人レベルでその効果を捉えた分析はこれが初めてである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画では平成26年度は特にデータセットを構築することに主眼を置いてきたが、これは想定より早めに達成された。推定や分析も着実に進んだため、順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の今後の推進方策としては、追加的に、 (1)学生の長期的なアウトプットに対しても教員は影響を与えるか否か (2)物理学の分野を対象として分析したが、物理学の中で例えば実験系と理論系は効果が異なるかどうか (3)学生のレベルによって効果は異なるかどうか についてを分析を行う。
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Research Products
(1 results)