2014 Fiscal Year Annual Research Report
高効率を目指したカーボンナノチューブ/グラフェンベースの燃料電池触媒の構築
Project/Area Number |
14J08220
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
金 菜リン 九州大学, 工学研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 燃料電池 / 白金 / コアシェル ナノ粒子 / カーボンナノチューブ / 電極触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、急激な人口の増加や経済成長に伴い、エネルギーの使用量も急激に増加している。しかし、石炭・石油・天然ガスをエネルギー源とした発電は、大気汚染や地球温暖化など環境問題を起こすため、クリーンな代替エネルギーの必要性が挙げられている。地球温暖化防止京都会議以降、日本における地球環境問題への取り組み、エネルギー資源の有効利用が急務とされ、各企業においても何らかの対策が余儀なくされているのが現状である。 このような問題に対処するために、クリーンエネルギーで、出力密度の大きい、しかも他の発電機関と比較して変換効率の大きな燃料電池への関心は急速に高まっている。その中でも固体高分子形燃料電池(PEFC)は小型で軽量であることから実用化への期待が高まっている。しかし、PEFCにおいて電気を得る反応中に生じる強酸に耐えられる金属はあまり存在せず、高価でかつ枯渇資源である白金用いるしかないのが現状である。そこで、白金を用いず高効率の燃料電池を開発することはエネルギー問題の解決に向けた重要なカギとなっている。枯渇資源で高価な白金の使用量を減らす方法の一つとしてコアシェル(core shell) 化が注目されている。我々は 多層カーボンナノチューブ(CNT)の表面にポリベンゾイミダゾール(PBI)をコーティングし、その上にパラジウムコア白金シェル ナノ粒子を吸着させたところ、高い電気化学的活性表面積を持っていることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年の4月から新しい燃料電池触媒の開発研究に取り組んでおります。 現テーマは、「高効率を目指したカーボンナノチューブ/グラフェンベースの燃料電池触媒の構築」です。 採用の間(平成 26年 04月 01日~ 平成 27年 3月 31日)に既に学術論文について3件持っており、十分な研究成果を出しております。採用期間の間に学術論文としてまとめることができる研究成果を出しており、Journalに投稿中です。また日本学術振興会の 特別研究員 として燃料電池の研究やその成果の英語口頭発表など日本学術振興会に大いに貢献しています。
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Strategy for Future Research Activity |
優れた特性を有するカーボンナノチューブ(CNT)と白金以外の金属粒子との複合体を作製し、白金フリーでかつ高効率の燃料電池を開発することを目的とし、研究を行っている。 電極における白金の使用を削減する方法として2つの戦略を立てた。 戦略Ⅰは、パラジウムナノ粒子に白金をナノレベルでコーティングすることによって、白金の使用量は削減でき、白金の性質は活かせるアプローチである。触媒反応は表面でしか起こらないため、表面のみが白金であっても効率の低下は見られないと予想される。 戦略Ⅱは、白金より安価である他の金属粒子(ex パラジウム) を用いる方法である。強酸に耐えながら高効率を生み出せるように金属粒子とCNTを複合化させれば、PEFCのコストを削減することができ、燃料電池の実用化が可能になると期待できる。
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