2015 Fiscal Year Annual Research Report
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14J08280
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西村 優里 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 電波天文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、低金属量銀河の化学組成を調べるため、かねてより進めてきた大マゼラン雲、IC10といった銀河の観測に加え、新たに観測対象をNGC55、NGC6822、NGC185と増やして観測を行った。これらの観測には、それぞれMopra 22 m望遠鏡、IRAM 30 m望遠鏡、野辺山 45 m望遠鏡を用いた。これにより、大マゼラン雲やIC10で見られたような、特徴的な化学組成(窒素を含む分子の存在量が少ないこと、CCH分子の存在量が多いこと)が低金属量環境で一般に見られるものであるのか、検証が進められると考えている。また、こうした系外銀河の化学組成と、天の川銀河の化学組成を比較するため、天の川銀河内にある分子雲で、分子雲スケールの広い領域をマッピング観測する研究も進めている。 これらと並行して、詳細な化学組成の観測が可能な銀河を新たに開拓するため、ASTE 10 m望遠鏡を用いて、CO分子の輝線の明るい銀河を探す観測も行った。その結果、いくつかの銀河が詳細な観測のターゲットとして適していることがわかり、今後の観測に活かしたいと考えている。 また、本年度の2~3月には、ドイツ・ボンにあるマックス・プランク電波天文学研究所に滞在し、C. Henkel博士と共同での研究にも取り組んだ。この研究では、複数の渦巻銀河で13-炭素同位体を含む分子の存在量を調べた。これまで行ってきた低金属量銀河の研究と合わせて、宇宙初期から現在に至るまでの銀河進化に伴う物質進化を辿る上で重要な手がかりになると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画での大マゼラン雲の観測の成果をまとめた論文が出版されたとともに、さらにIC10の観測の成果をまとめ、論文を投稿することができた。また、大マゼラン雲とIC10で見られた化学組成の特徴が一般的に見られるものであるかどうかを検証するために、さらに観測対象を拡大して研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
大マゼラン雲、IC10で見られた化学組成の特徴が、NGC55、NGC6822、NGC185など、他の低金属量銀河でも見られるかどうか、検証を進めていきたい。これと合わせて、渦巻銀河で13-炭素同位体を含む分子の存在量を調べたり、遠方の銀河の基本的な化学組成を調べたり、銀河進化と物質進化の関係を探っていきたいと考えている。
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Research Products
(4 results)