2014 Fiscal Year Annual Research Report
ナノギャップシステムを用いた強磁性単電子トランジスタの開発
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14J08599
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
須田 隆太郎 東京農工大学, 大学院工学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 単電子トランジスタ / エレクトロマイグレーション / ナノギャップ / FMSET / 量子ポイントコンタクト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ナノギャップ空間に強制的に通電を行うことにより誘起される原子の移動現象を利用することで、強磁性単電子トランジスタ(FMSET)の作製および実験的検証を行う。本課題で提案するアクティべーション法とは、ナノギャップ電極に通電を行うことによるナノスケール構造の変動に伴うナノギャップの電気的な特性変化をリアルタイムにモニタリングすることで、簡便にナノスケールの構造制御が可能な技術である。これより、通電のみによる簡便な強磁性単電子トランジスタの作製手法の確立を目指す。 本年度(平成26年度)では、これまで、我々が提案してきたナノギャップ電極間に通電を行うことによる原子の移動現象を用いて、原子数個分のコンタクトである量子ポイントコンタクト(QPC)の作製を行った。また、本手法により作製したFMSETの電気・磁気的特性の評価を室温・低温環境下にてそれぞれ行った。 その結果、電流掃引条件を最適化することにより、室温下にてQPCの形成を示唆するコンダクタンスの離散変化を確認した。これは、通電のみによる非常に簡便なプロセスで原子単位の構造制御が可能であることを示している。 また、アクティべーションプロセスにおいて、ナノギャップの抵抗が2値的に変化する抵抗スイッチング特性が確認された。これにより、不揮発性メモリ作製というアクティべーション法の新たな応用の可能性が見出された。さらに、電流が抑制されるクーロンブロッケード領域において磁気抵抗比が100%以上増大する現象を室温下にて確認した。この値は、理論計算で予想される多重接合系FMSETの磁気抵抗比増大と概ね一致している。このことは、低温下における実験結果からも裏付けられており、本手法による室温動作可能なFMSET実現の可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、ナノギャップに通電した電流によって誘起される原子の移動現象を利用することで、簡便な強磁性単電子トランジスタ作製技法の確立を目指している。初年度(平成26年度)では、本手法によるナノ構造制御手法の高度化を図り、良好な磁気抵抗比の観測に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(平成27年度)では、ゲート電圧によるトンネル磁気抵抗効果の変調制御特性について詳細に検討し、ゲート・アイランド間にC結合/R結合/RC直列回路を有する各FMSETの作製・評価を行い、設計指針を模索する。
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