2014 Fiscal Year Annual Research Report
重力波によるダークマターの新しい探査方法とその実データへの応用
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14J08636
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
枝 和成 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 重力波 / ダークマター / ブラックホール / 中性子星 / 重力波検出器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、大質量ブラックホール(MBH)周囲に存在すると指摘されているダークマター(DM)の重力波への影響を調べ、実データ解析へと応用することが目標である。今年度は、連星系をなすコンパクト星にDMが与える影響として、DMの重力ポテンシャルに加えて、新たに力学的摩擦を取り入れ、DM存在下でのインスパイラル重力波の波形を解析的に導出した。得られた重力波波形を用いて、MBH周囲にDMが高密度で存在するような場合、例えばDMスパイクモデルの場合には、DMは重力波検出に大きく影響することを定量的に示し、重力波観測によってDMパラメーターを高精度で決定でき得ることを明らかにした。このような重力波は低周波数帯に感度を持つ重力波検出器で捉えること可能であるが、そのような低周波数重力波検出器の一つであるTOBAに関して、多出力型のアンテナ構成法を新たに提案し、その性能をフィッシャー解析を利用して評価した。その結果、従来のアンテナの構成法と比べ、多出力構成によりMBH連星のイベント検出率やパラメーター決定精度が大きく向上することを明らかにした。さらに、コンパクト星の候補天体である中性子星に関して連続重力波を利用した質量推定法を提案した。高速回転する孤立中性子星は、歳差運動する場合や内部に超流動コアを含む場合には、複数のモードを持つ連続重力波を放射することが知られている。こうした状況下で、中性子星のなす重力ポテンシャルにより引き起こされる重力位相シフトを利用することで、連続重力波の位相部分から中性子星質量の情報を抽出できることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に沿って研究を進め、論文の発表を行うことができた。それに付随して、多出力型TOBAの性能評価や中性子星の質量推定法の提案など当初の予定にはなかった研究を行うことができ、計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度からiKAGRAが稼動し短期間ではあるが実データが得られるようになる。これに向けてデータ解析の研究へと着手する。
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Research Products
(8 results)