2015 Fiscal Year Annual Research Report
重力波によるダークマターの新しい探査方法とその実データへの応用
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14J08636
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
枝 和成 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 重力波 / 連続重力波 / パルサー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は重力波の有望なターゲットの一つである連続重力波の解析パイプラインの構築を行った。連続重力波は、観測時間よりも十分に長い信号持続時間を持ち、周波数がその期間にわたってほぼ一定であるような重力波の総称である。連続重力波の振幅は微小であるため、検出器雑音の中から信号を抽出するには長時間積分を必要とし、その計算コストが解析の際の最大の問題となる。この問題に対処するため、連続重力波データ解析の分野では、F-statisticと呼ばれる手法が広く用いられている。本年度はこの探索パイプラインの構築を行った。 構築した探索パイプラインを、ねじれ振り子型重力波検出器(TOBA)を用いて試験した。TOBAは地上低周波数帯重力波検出器であり、二本の直交する棒状のテストマスから構成され、検出器平面上の二本のマスの角度変動から重力波信号が読み取られる。TOBAはKAGRAやLIGOなどの大型レーザー干渉計では探索できない低周波数領域に強みを持つ検出器である。今回新たに作成されたPhase-II TOBAを用いて、6Hzから7Hzの1Hzバンドにわたって、データ長が約1日の全天探査を行い、低周波数帯の連続重力波を探索した。結果として、統計的に有意な重力波信号は発見されなかったが、低周波数帯では最も厳しい振幅上限値を課した。この得られた振幅上限値は、理論的に予測される上限値とほぼ一致しており、構築された探索パイプラインが正しく作動していることも確かめられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に沿って研究を進め、連続重力波の解析パイプラインを開発し、ねじれ振り子型重力波検出器から得られたデータを用いて、その検証をした。また、論文の発表もでき、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度のはじめにiKAGRAが稼働し、そこから実データが得られる予定である。昨年度開発した連続重力波の解析パイプラインを、その得られたデータに適用する予定である。また、新たに開発した解析手法を検証予定である。
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Research Products
(9 results)