2014 Fiscal Year Annual Research Report
Bam複合体による外膜タンパク質形成の構造基盤の解明
Project/Area Number |
14J09020
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
草木迫 司 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 構造生物学 / X線結晶構造解析 / タンパク質の膜組み込み / 膜タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、細胞の外膜タンパク質形成メカニズムの構造基盤を解明することを目的として、特に真正細菌の外膜タンパク質形成における膜組み込みの過程で重要な役割を果たすBam複合体に着目し、その構造機能解析を進めている。外膜タンパク質の膜組み込み装置であるBam複合体は、膜タンパク質であるBamAとリポタンパク質であるBamB, BamC, BamD, BamEの五者の因子により構成される。Bam複合体の構造機能解析に先立ち、まずBam複合体の中でも特に重要な役割を果たすベータバレル型タンパク質であるBamAのX線結晶構造解析に取り組んだ。結晶化に適したBamAの生物種スクリーニング、発現系・精製系の検討及び結晶化スクリーニングの結果、高度好熱菌Thermus thermophilus由来BamAの結晶を得ることに成功した。得られた結晶を用いてX線回折実験を行い、現在までに30A程度の分解能の回折像を得ている。また、病原菌の多剤耐性獲得に関わる膜タンパク質MATEトランスポーターの構造機能解析も推進した。コレラ菌Vibrio cholerae由来のMATEトランスポーターのX線結晶構造解析を行い、その構造を2つの異なるコンフォメーションにおいて、2.2A, 2.7Aの高分解能で決定した。今回得られた構造とこれまでの知見から、真正細菌・古細菌両方のMATEトランスポーターに保存された普遍的な基質輸送メカニズムが示唆された。構造情報に基づきin vivo及びin vitroで機能解析を行い、得られた成果をまとめて現在論文投稿の準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Bam複合体の中核因子である膜タンパク質BamAの発現系・精製系の構築、結晶化に成功し、回折像の取得にまで至っているため。更にMATEトランスポーターの複数のコンフォメーションを高分解能で決定することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、BamAのN末端側に存在する可溶性ドメイン(POTRAドメイン)の除去を含めたコンストラクトの検討並びに結晶化条件の最適化を進め、構造解析に適したより良質な結晶の取得を目指す。より良質な結晶を用いて高分解能の回折データセットの取得、BamAの構造決定を行い、得られた構造情報に基づき更にBamA-EのBam因子五者複合体の調製・構造決定へと発展させる。
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[Presentation] X-ray crystallographic analysis of a MATE multidrug transporter from V. cholerae2014
Author(s)
Kusakizako, T., Tanaka, Y., Maturana, A.D., Hipolito, C.J., Kuroda, T., Ishitani, R., Suga, H., Nureki, O.
Organizer
The 23rd Congress and General Assembly of the International Union of Crystallography
Place of Presentation
Montreal, Canada
Year and Date
2014-08-11