2014 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナ変異体syp22-1の抑圧変異体の解析によるARA6の機能の究明
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14J09222
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹元 廣大 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 膜交通 / 葉緑体 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は抑圧変異vas6の抑圧様式の解析と、VAS6の細胞内局在についての解析を中心に行った。 vas6変異の抑圧様式を調べるために、syp22-1変異体の表現型から、葉の縮れ、花茎の伸長遅延、花成遅延、TGG1の転写産物の蓄積の4つの表現型について解析を行った。ara6-1変異がこれら4つの表現型を抑圧するのと同様に、syp22-1 vas6でも4つの表現型いずれについても抑圧が見られた。この結果から、ARA6とVAS6の機能的な関係性が示唆された。 vas6変異の候補遺伝子について、この遺伝子が責任遺伝子であることを確認するために、変異型のゲノム断片をクローニングし、syp22-1植物体に導入した。この形質転換体の表現型を解析した結果、この候補遺伝子の変異型のゲノム断片はsyp22-1に対する抑圧活性を持っており、確かにこの遺伝子がvas6の原因遺伝子であるということが確認された。ただし、花成遅延の表現型は抑圧されなかった。 さらに、VAS6のT-DNA挿入変異体vas6-1について解析を行った。発現解析の結果、vas6-1は全長での遺伝子発現のみられない、機能欠失変異体であることが明らかになった。vas6-1とsyp22-1の二重変異体について表現型の解析を行ったところ、花成遅延の抑圧がみられたものの、葉の縮れと花茎の伸長、TGG1タンパクの蓄積の表現型は抑圧されなかった。これらのことから、syp22-1の表現型ごとに、異なる仕組みの抑圧機構が存在することが示唆された。 また、VAS6の色素体への局在について、局在に必要な領域を決定するために、シロイヌナズナのプロトプラストに蛍光タンパク質との融合タンパク質を一過的に発現させて、その局在を解析した。VAS6の部分断片に蛍光タグをつけたものの局在の観察を行った結果から、N末端側、C末端側の配列は色素体への局在に必要でなく、58アミノ酸からなる配列だけで色素体に局在することが可能であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝学的な解析については当初の計画以上の速さで進展があった。細胞内局在の解析についても、色素体への局在に必要な配列の絞込みには成功したが、シロイヌナズナ植物体に、蛍光タグとVAS6の融合タンパクを発現させた形質転換体の作製において、35S、syp22、nativeプロモーターのいずれでも蛍光が観察できる個体は得られなかった。現在、薬剤誘導性プロモーターでタグ付きタンパクの発現を駆動するコンストラクションを作製し、その形質転換体の観察準備を進めていることから、おおむね順調な達成度と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
・syp22-1変異体において、蛍光タンパクを変異型VAS6のC末(色素体とドットに局在)またはN末(ドットのみに局在)に融合させたタンパク質を発現させ、その抑圧活性を検証する。 ・VAS6の基質を網羅的に探索するため、VAS6-GFPを発現する植物体から抗GFP抗体を用いた免疫沈降を行い、免疫沈降物の質量分析解析を行う。 ・色素体を単離し、VAS6に対するウェスタンブロッテイングを行うことで、VAS6の色素体への局在がTIC/TOCを介した系によるものではないことを確定させる。 ・ara6-1、ara6-2背景でVAS6-GFPを発現する植物を作製し、VAS6-GFPの局在を解析する。
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