2014 Fiscal Year Annual Research Report
タイ類ゼニゴケにおけるエンドソーム-葉緑体間の膜交通制御機構の解析
Project/Area Number |
14J09224
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金澤 建彦 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
Keywords | 膜交通 / ライブイメージング / SNARE / 葉緑体 / オルガネラ / Rab GTPase / ARA6 / ゼニゴケ |
Outline of Annual Research Achievements |
1.多重蛍光ライブイメージングの条件検討 膜交通はRab GTPaseやSNAREなどの進化的に保存された分子に支えられており、それら分子のin vivoにおける動態と相互作用の可視化は本研究において非常に重要かつ大きなウエイトを占めている。多重蛍光観察を行うため、GFP, YFP, mRFP, TagRFPの単発現株および多重発現株を作製し、エンドサイトーシス追跡試薬FM4-64、ミトコンドリア染色試薬MitoTracker Orange、葉緑体クロロフィル自家蛍光のプロファイルを共焦点レーザー顕微鏡を用いて取得した。蛍光スペクトルと検出器を適切に組合わせるで、S/N比が高く、互いの蛍光を完全に分離できる条件を見出し、少なくとも5色の蛍光を同時に取得するタイムラプス観察を可能とした。 2. 膜融合因子SNAREの網羅的解析 SNAREは膜交通の最終段階において、輸送小胞と標的膜の融合を担っており、ゼニゴケSNAREを網羅的に解析した。 まず、ゼニゴケゲノムより34遺伝子のSNAREを同定し、RT-PCRにより器官特異的な発現を示すSNAREが存在することを明らかとした。典型的なSNAREに加え、C末端の膜貫通領域に加えN末端にミリストイル化を受ける新規分子構造を持つSNAREも見出した。さらにゼニゴケ細胞のオルガネラマーカーラインを整備・確立し、それらに蛍光タンパク質と融合したSNAREを導入し、個々のSNAREの細胞内局在を明らかにした。ERに6分子種, ゴルジ体に6分子種, TGNに6分子種, 液胞膜に3分子種, 細胞膜7分子種, 油体膜に2分子種が少なくとも存在した。 これらの結果より、膜交通経路は、1) 遺伝子重複とその後の変異の蓄積、2) 新規制御分子の獲得、3) 既存の分子ネットワークを他の経路に転用という進化的イベントに伴い多様化したという新しい仮説が考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の遂行に大きなウエイトを占める多色蛍光ライブイメージングの条件検討を行い、S/N比が高く、互いの蛍光を完全に分離できる条件を見出し、少なくとも5色の蛍光を同時に取得するタイムラプス観察を可能とした。この実験手法および成果については、Carl Zeiss Microscopy Application Noteに投稿を行った。 また、申請時に発見していたゼニゴケSNARE分子種について網羅的な解析を行い、器官ごとの発現特異性、細胞内局在が明らかとなった。この解析結果と、シロイヌナズナにおける既存の報告を照らし合わせ、膜交通経路多様化の原動力となった進化的イベントについて考察し、国際誌に投稿した。
|
Strategy for Future Research Activity |
・バイオプローブと脂質合成阻害剤を用いて、膜交通のイベントの足場となる脂質ラフトを構成するイノシトールリン脂質の局在解析とその生理学的意義について解析し、新奇膜交通経路とイノシトールリン脂質の局在性の関係について検証する。 ・MpARA6のエフェクター分子、MpARA6の活性化因子の単独変異体を既に作出しており、これらの単独変異体および多重変異体のゼニゴケを環境ストレス・生物ストレスに暴露させ、その表現型を比較することで、新奇膜交通経路の生理学的意義を明らかにする。 ・ゼニゴケSNAREの局在性について、MpARA6の恒常活性型との共発現条件下、Mpara6変異体、MpARA6の活性化因子・エフェクターの変異体内での局在を観察し、エンドソーム-葉緑体間の輸送経路で機能するSNAREについて同定、解析する。
|
Research Products
(4 results)
-
[Presentation] Systematic analysis of SNAREs in the liverwort, Marchantia polymorpha2015
Author(s)
Takehiko Kanazawa, Atsuko Era, Naoki Minamino, Yu Shikano, Masaru Fujimoto, Ryuichi Nishihama, Katsuyuki T. Yamato, Kimitsune Ishizaki, Tomoaki Nishiyama, Takayuki Kohchi, Akihiko Nakano, and Takashi Ueda
Organizer
第56回日本植物生理学会年会
Place of Presentation
東京農業大学, 東京
Year and Date
2015-03-16 – 2015-03-18
-
[Presentation] Comprehensive analysis of SNARE molecules in the liverwort, Marchantia polymorpha2014
Author(s)
Takehiko Kanazawa, Naoki Minamino, Atsuko Era, Masaru Fujimoto, Kimitsune Ishizaki, Ryuichi Nishihama, Takayuki Kohchi, Akihiko Nakano, and Takashi Ueda
Organizer
Marchantia Workshop 2014
Place of Presentation
Kobe Univ., Kobe, Japan
Year and Date
2014-12-08 – 2014-12-10
-
-