2015 Fiscal Year Annual Research Report
ハイパーグラフを用いた多項関係の学習・予測手法の提案と情報抽出・検索への応用
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14J09329
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
則 のぞみ 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 転移学習 / リスク予測 / 医療支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
医療支援及び医療研究支援を見据えた患者のリスク予測問題において、疾病の複雑性を捉えるために疾病ごとに個別化した予測モデルを構築するとともに、実データを用いて手法の有効性や特性をより網羅的に評価した。医療データ解析の現場に、疾病の複雑性を反映した新しい医療データ解析手法を提供することで、新たな知識の発見に繋がることが期待された。 上記研究では、疾病ごとにモデルを個別化する際に生じるデータの疎性への対処としてドメイン知識の活用を掲げたが、ドメイン知識が必ずしも適切ではないような状況も存在すると考えられる。そのような場合への対処として、本年度は疾病間の関係をデータから学習するために転移学習の枠組みを用いることを提案し、実データを用いた実験によって、特に患者数の少ない疾病で知識の転移が有効であるとの示唆を得た。疾病の分布は裾が長い分布になっていることがしばしば報告されており、これはつまり、多くの疾病が患者数の少ないような低頻度疾病であることを意味する。個々の低頻度疾病の患者数は少ないが、低頻度疾病全体の患者数は無視できないものである。しかし、データの不足や知識の不足等から、低頻度疾病に対しての予測モデリングはほとんど行われていないのが現状であり、本研究では低頻度疾病に対する予測モデリングの一つの解として転移学習の有効性を実証したといえる。 以上の試みは、患者の疾病の個別性を反映した医療支援、医療研究支援のための統計的機械学習手法の実験的応用の一つのさきがけといえる。一つ目の研究はデータマイニングの最難関国際会議であるKDDに2015年に採択され、同年8月にはオーストラリアにて口頭発表を行った。また、その実験の続きとして、より網羅的な実験を行った結果を英文ジャーナルとしてまとめており、近日投稿予定である。二つ目の研究も国際会議に投稿済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一つ目の研究である「マルチタスク学習を用いた複数疾病の同時モデリング」に関する研究はデータマイニングの最難関国際会議であるKDD2015の研究トラックにて採択され、2015年8月にはオーストラリアで口頭発表を行った。その後、より網羅的な実験を行い、その結果は英文ジャーナルにてまとめており、近日投稿予定である。本研究は、問題設定、定式化、実証実験、論文執筆、すべての面で一定度の高い完成度に至っていると考えられる。 二つ目の研究である「転移学習を用いた低頻度疾病のための予測モデリング」に関する研究も国際会議に投稿済みである。本研究も同様に一定度の完成度に至っているものの、手法面での新規性に乏しく、総合的に判断して、計画以上の進展はないと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
より一般的な問題設定として、観測データが限られる場合のモデリング手法の提案と実証に取り組むとともに、ヘルスケアをはじめとしていくつかの応用分野における実証を行う。
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Research Products
(5 results)