2015 Fiscal Year Annual Research Report
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14J09377
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小川 敬也 東京工業大学, 元素戦略研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | アンモニア合成 / プロトン伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
YRu2によるアンモニア合成法の評価:前年度の研究として、YRu2がアンモニア合成に対して非常に高い活性を持っていることが示された。本年度は、その原因解明に向けて研究を行い、Yが持つ電荷がRuへ偏り、アニオニックな状態のRuができていることが判明した。アニオニックなRuはアンモニア合成の律速段階である窒素解離を促進し、高活性の要因になっていることが判明した。また、Ruは水素との結びつきが強いために、水素被毒起こしてしまうという欠点があり、他の金属からの電荷移動があれば更にその水素被毒が大きくなり、活性向上に妨げになるということが知られている。しかし、YRu2は水素吸蔵能を持つため、Ru上の水素被毒が抑えられ、活性を向上させている、ということがわかった。 Packed-acid mechanismの理論的拡張:水の動きを必要としないプロトン伝導Packed-acid mechanismの理論的拡張を行った。結果より、酸同士が離れていても相互作用が行われ、その相互作用の程度と距離が、酸官能基によって大きく違うことを示した。そして理論的に最もPacked-acid mechanismを引き起こすのに適した酸官能基を特定した。 常温常圧におけるアンモニア合成:嵩高いトリアミドアミンの四座型配位子を有するモリブデン窒素錯体は、世界で初めて常温常圧におけるアンモニア合成を達成し、触媒反応について1つ1つのステップを詳細に調べられてきた。この反応の特徴的な点として、非常にファラデー効率が高く(66%)、アンモニア電気化学合成の場合(~1%)の桁違いの値を示す。この非常にファラデー効率が高い要因を探るべく、触媒やプロトン源の合成を行い、反応条件を操作することを行った。これにより、高くなる要因を解明し、それに基づいたアンモニア電気化学合成に最適な材料の探索を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた研究や、必要なメカニズムの調査などは概ね行うことができており、順調に進展していると言える。一方で、海外出張に伴う諸々の変化に対応するために時間をとられた。
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Strategy for Future Research Activity |
海外出張によって、均一系触媒についての新しく得られた知識や経験は非常に大きく、この知識を基に研究を進展させる。特に、均一系触媒を用いた場合に非常に高いファラデー効率の理由に対する知見は、推進しようとしている不均一系触媒の発展に対して非常に役に立つと考えられる。
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Research Products
(3 results)