2015 Fiscal Year Annual Research Report
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14J09502
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大森 寛太郎 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 6次元超共形場理論 / 散乱振幅 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度から引き続き立川裕二准教授(当時)および他の共同研究者と研究を行った。6次元の最大超対称共形場理論は、リーマン面に巻きつけることによりClass S理論と呼ばれる広いクラスの四次元N=2共形場理論を与えることが2009年より知られており、Class S理論のこの構成法は様々な双対性についての飛躍的な進展をもたらした。我々は同様の手続きを6次元の最小超対称共形場理論に一般化することを目標としており、今年度は8つ超対称電荷を保つトーラスコンパクト化2ついて研究を行った。最大超対称共形場理論にHiggs 枝フローを持つような理論、およびE-弦理論と呼ばれる6次元超対称共形場理論にHiggs枝フローを持つ理論の一部を調べ、どちらの場合もコンパクト化した理論のIR固定点付近はClass S 理論やそれらの組み合わせで記述できることを見出した。
2013年のMason-Skinnerにより提唱されたambitwistor空間と呼ばれる、時空に付随する正則接触空間をターゲットとする弦理論は、Einstein gravity やYang-Mills 理論の散乱振幅のCachazo-He-Yuan(CHY)公式(2013年)を直接再現する。さらにこの弦理論はツリーレベルの公式であるCHY公式をループレベルに自然に拡張することを可能にする。Mason-Skinnerの論文では不明確だったこの弦理論のモジュライ積分における幾何学的な構造を明らかにした。通常の弦理論と異なり、世界面理論がカイラルで、正則側の自由度しか持たないため、モジュライ積分をどのように定義すべきなのかは明らかではない。モジュライ積分をモジュライ空間の余接空間の中のモース流として定義することでMason-Skinnerの処方を再現できることを議論した。さらに、一般のループにおいてユニタリーティに伴う因子化を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年度に引き続いて6次元超共形場理論についての研究が進捗した。当該年度においては6次元超共形場理論を円やトーラスでコンパクト化し、4,5次元理論との関係を調べることができた。
また、新たに弦理論と場の理論の散乱振幅の関係についての研究を始めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度に引き続き、超空間の幾何学を用いた超開弦の場の理論の作用の構成の研究を大川祐司准教授と行っている。すでにNSセクターの3,4次相互作用の構成に必要な構造は明らかになっており、論文を取りまとめているところである。2015年には、別の研究者によって超空間の幾何学の構造を用いて超開弦のRセクターの構成も行われており、超弦の場の理論の研究が盛り上がりを見せている。
このため、大川准教授との共同研究をなるべく速やかに完成させることが必要である。さらに高次相互作用、R-セクターへの拡張、WZW型作用との関連を考える。
また、6次元超共形場理論についての研究においては、一般のリーマン面についてのコンパクト化により4次元N=1理論を構成し、種々の双対性を調べることを目標とする。
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Research Products
(4 results)