2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J09518
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中口 悠輝 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | ゲージ/重力対応 / ブラックホール / エンタングルメント・エントロピー |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度の研究では2つの論文が雑誌に受理された。
1つ目の論文 “Holographic Entanglement and Causal Shadow in Time-Dependent Janus Black Hole”は25年度にarXivへ投稿したもので、26年度中にリバイズを行うことで6月にJHEPに受理された。この論文では、ホログラフィー対応において境界と因果的に無関係な重力側の領域が場の理論側でどう記述されるかを探るため、時間依存ヤヌスブラックホール時空においてエンタングルメントエントロピーの時間発展をホログラフィックに調べ、その増加速度が時空の変形パラメーターに依存するなどの結果を得た。この論文の内容については、9月に行われた物理学会の秋季大会で発表を行った。
2つ目の論文 “Renormalized Entanglement Entropy on Cylinder”は8月にarXivへ投稿したもので、その後リバイズを行うことで2月にJHEPに受理された。この論文では、2+1次元において繰り込み群で単調減少するstationaryな関数として円筒上のくりこまれたエンタングルメントエントロピーという量を提案し、自由スカラー場に対して質量項による摂動を行った場合に確かにstationaryでかつ繰り込み群で単調減少することを確認した。この論文の内容については、2月に京都大学の基礎物理学研究所のセミナーで発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は2つの論文が査読付き雑誌に受理され、おおむね順調に進展していると言える。
前年度と同様の理由である。量子重力理論の原理として提案されたホログラフィー原理の文脈において時空がどのように構成されているかを考える上でエンタングルメントエントロピーという概念が鍵となると思われており、ホログラフィー対応の重力側・場の理論側のそれぞれにおいてエンタングルメントエントロピーについて調べ、ある程度の成果を出すことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、当該年度に出した論文に続く内容の研究を考えている。特に、2つ目の論文において、エンタングルメントエントロピーの定義に今まであまり意識されていなかった任意性があることを示唆する結果を得た。現在、その任意性についての研究を進めたいと考えている。
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