2014 Fiscal Year Annual Research Report
北東アフリカにおける牧畜民の持続可能性と国際協力:情報技術を活用した広域的分析
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14J09525
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
阪本 拓人 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 牧畜民 / アフリカ / マルチエージェント・シミュレーション / 衛星画像解析 / 国際協力 / 持続可能性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、マルチエージェント・シミュレーション(MAS)や衛星画像解析、地理情報システム(GIS)といった情報技術に依拠した技法を駆使して、北東アフリカにおける牧畜民社会に関する広域的な分析を進め、その持続可能性に資する望ましい国際協力のあり方について構想していく。研究課題初年度にあたる2014年度は、来年度以降の本格的な分析の展開に備え、関連する先行研究(特に牧畜民社会に関する生態人類学研究・リモートセンシングの技術や適用に関する研究)の収集と検討を進めた。また、牧畜民社会を取り巻く社会・自然環境の変化を捉えるGIS・衛星画像データについても、東アフリカ地域の植生や水資源に関するものを中心に、収集と分析を進めた。その成果の一端は、2014 年 5 月に開催された日本アフリカ学会学術大会におけるポスター発表「東アフリカ牧畜民社会の広域的研究」において報告した。さらにこれらの研究の遂行にあたっては、交付申請書に記載した通り、アジア経済研究所の研究資源や研究員との交流の機会を積極的に活用することを心がけた。実際、所内で定期的に開催される研究会に頻繁に参加して、関連分野の研究状況の把握に努めたほか、こうした所内の研究会をはじめとするさまざまな場において、私自身、自らの研究に関して報告する機会を幾度か得て、貴重なフィードバックを得ることができた。最後に、交付申請書で記載したエチオピアでの現地調査は、カウンターパートの事情等で実施できなかったものの、2014年11月から社会シミュレーションやデータ分析の分野での世界的な研究拠点の一つであるスイス連邦工科大学チューリヒ校(ETH)に滞在する機会を得た(2015年9月まで滞在予定)。MASをはじめ、本研究の遂行を支えるさまざまな方法論とそれらの適用について、最新の知見の取得に努めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述した通り、交付申請書に記載した研究計画は、アフリカでの海外調査の実施を除いては概ね達成できた。海外調査についても、スイスに行くことで研究遂行を支える方法論的基礎の強化がなされていることを鑑みれば、現在までの達成度は満足できる水準にあるものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は引き続き衛星画像データ等の収集・分析を進めていくとともに、牧畜民の移動や空間利用を捉えるMASモデルの構築に着手し、速やかに完成、テストランの実行へと移りたい。現在滞在中のETHでは、高性能グリッドコンピューティング機能が自由に利用できる立場にあるので、この恵まれた計算機環境を最大限に活用して効率的な研究遂行に努めたい。
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Research Products
(3 results)