2014 Fiscal Year Annual Research Report
超リーマン面のモジュライ空間に基く解析による閉じた超弦場の理論の定式化の確立
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14J09608
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松永 博昭 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 超弦の場の理論の定式化 / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、超弦の場の理論の定式化についての研究を行い、特に、WZW-likeと呼ばれる定式化に基づいてNS-NSセクターを記述する作用を書き下した。また、現在までに知られている、超弦の場の理論におけるNS及びNS-NSセクターを記述する2つの異なる定式化の関係を明らかにするための研究を行った。 今年度の科研費は、主に、関連する国内外の研究会への旅費へ当てられた。 このNS-NSセクターを記述する作用についての研究は、論文にまとめ(出版は平成27年度)、物理学会2014年秋期大会で報告した。また、その後の更なる進展を含めて学位論文にまとめ、新たな結果と共に研究会『弦の場の理論15奈良』で講演を行った。 2つの異なる定式化の関係を明らかにする研究についても著しい進展があり、研究会『弦の場の理論15奈良』で講演し、物理学会2015春期大会で報告した。現在、その詳細を論文にまとめており、2015年5月に中国四川省成都で開催される国際研究会『String Field Theory 2015』で講演する予定である。 これらの研究おいて、国内遠方の研究者との交流はもちろん、関連する国際研究会への出席や、他国の研究者との交流が極めて重要な役割を果たした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究目標は、NS及びNS-NS超弦の場の理論において知られている、2つの異なる定式化の関係を理解する事であった。これにより、NS及びNS-NSセクターを記述する超弦の場の理論に対する定式化が確立すると考えられるためである。 これまで、近年著しく発展した片方の定式化と比して、他方であるWZW-like定式化においてはNS-NSセクターの十分な理解が得られていなかった。本研究により、このNS-NSセクターを記述するゲージ不変な作用を構成する事に成功し、まず、この点が解決した。 更に、この構成した作用の性質を注意深く調べる事によって、WZW-like定式化で構成された作用のゲージ対称性の一部を適切に固定すれば、もう一方の定式化から構成された作用と同等のものへ帰着する事が判明した。 この解析を進め、2つの定式化は同等である事を示した。これにより、平成26年度の最終目的であった、NS及びNS-NSセクターにおける2つの異なる(と思われていた)定式化の関係が明らかとなったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、まず、前年度から続いているNS及びNS-NSセクターを記述する超弦の場の理論の研究を進め、詳細を十分に整理し、完結させる。これにより、NS及びNS-NSセクターを記述する超弦の場の理論の定式化は確立する。 このNS及びNS-NSセクターにおける2つの異なる定式化を結びつける研究においては、我々が独自に開発・発展させた技術が極めて重要な役割を果たしていた。更に、詳細を整理するための研究を進めるに伴い、この技術はNS・NS-NSセクターの枠を越え より広範に運用できる可能性がある事が分かった。そこで、この技術に対する理解を深め、詳細を整理する事を試みる。 この十分な理解の後に、Rセクターを含む超弦の場の理論の質量殻条件、及び、作用を、この技術を用いて2つの定式化を行き来する事によって明らかにする。
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Research Products
(3 results)