2014 Fiscal Year Annual Research Report
細胞表現系を用いた特殊ペプチドスクリーニング技術の開発と応用
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14J09744
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西尾 洸祐 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 特殊ペプチド / スクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
活性ベースの創薬シードスクリーニングは、結合ベーススクリーニングと比較すると、目的の生理活性を有する化合物が獲得できるという利点があるが、従来の小分子ライブラリを用いた場合、実際使用できる化合物の数は数千~数万と少ないため、ヒット化合物が得られなかったり、擬陽性が生じるといった問題が頻発する。この理由は小分子の標的蛋白質に対する結合力・選択性の低さにあると考えられる。 所属研究室では、独自技術により1兆種類以上の多様性からなる特殊ペプチドライブラリを構築し、標的蛋白質に対する結合ベーススクリーニングを行っている。ヒットした特殊ペプチドは、標的蛋白質に対し抗体と同程度の結合力・選択性を示す。この点から、特殊ペプチドライブラリを活性ベーススクリーニングへと応用すれば、小分子化合物ライブラリを用いた場合の欠点を克服できると考え、新規創薬シードスクリーニング技術開発を目的とした。 まずは、オキシトシン受容体を活性化する特殊ペプチドのスクリーニングを通して、スクリーニングの条件検討、最適化を行う。オキシトシン受容体が活性化されると、下流のシグナル伝達の結果細胞質のカルシウムイオン濃度が上昇する。そのため、あらかじめカルシウムイオン指示薬(Fluo-8)でオキシトシン受容体発現細胞株を標識しておくことで、オキシトシン受容体の活性化を細胞の蛍光強度の増加として検出できる。 今年度は、まずオキシトシン受容体発現細胞株のFluo-8標識の条件検討を行った。また、この特殊ペプチドライブラリを用いた場合の問題点として、1本の試験管内で1兆種の特殊ペプチドを同時に合成出来る反面、各分子種濃度はaM~fM程度でありオキシトシン受容体に対し活性を示さない可能性が高いと考えられるため、最初に合成されるランダムライブラリーからオキシトシン受容体発現細胞株に結合する特殊ペプチドのスクリーニングを試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において新規スクリーニング系の構築は肝であり、最も困難であることが予想される。なぜならば、スクリーニングの各段階における無数の条件検討を要し、それぞれ最適化を行わなければいけないからである。本年度は、半数程度の条件の最適化を行うことができ、来年度の見通し及び課題が見えた。従って、現在の研究進捗状況は、当初の研究計画に従って順調に進行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず、新規特殊ペプチドスクリーニング系において、本年度、条件の最適化が達成されなかった部分の条件検討を行う。具体的には、オキシトシン受容体発現細胞株に対する結合ベーススクリーニングを継続し、オキシトシン受容体発現細胞株に結合する特殊ペプチドをスクリーニングできるよう条件を最適化する。その後、オキシトシン受容体に結合する特殊ペプチドのみからなるライブラリを用いて、オキシトシン受容体を活性化する特殊ペプチドのスクリーニング条件の検討、スクリーニングを完了させる。 オキシトシン受容体活性化特殊ペプチドのスクリーニング後は、その特殊ペプチドの活性をin vitro及びin vivoで評価する。
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Research Products
(1 results)