2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J09915
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西口 大貴 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | アクティブマター / 自己駆動粒子 / 集団運動 / 非平衡統計力学 / ゆらぎ / コロイド / ヤヌス粒子 / バクテリア |
Outline of Annual Research Achievements |
アクティブマターにおける集団運動の統計力学的性質への実験的アプローチのため、前年度に引き続き、非生物と生物の両方を取り上げて実験を進めた。 非生物系の例としては、前年度同様に交流電場下で自己駆動する非対称なコロイド粒子(ヤヌス粒子)を用いた。ヤヌス粒子の作るアクティブ乱流状態において、速度相関・局所秩序変数を測定することにより、正と負の相関が共存していることを明らかにした。これは数値計算による先行研究でのアクティブ乱流の発生機構の説明と合致する結果である。また、Stokes方程式を解析的に解くことにより、ヤヌス粒子が作る流れ場からこのような相関を引き起こす相互作用を説明した。これらの結果はPhysical Review E誌に出版された。その後、さらに、粒子間相互作用を制御することにより、乱流状態ではなく全体として向きを揃えて一方向に進む秩序相を得ることに成功した。現在、その秩序相のゆらぎなどの性質を調べている。 生物系の実験も、前年度に引き続きフィラメント状大腸菌を使用した。擬2次元系におけるフィラメント状大腸菌の大域的ネマチック秩序相における「巨大な密度ゆらぎ」(giant number fluctuations)は前年度から実験的に観測されていたが、今年度はその実験精度を高め、その結果を確かなものとした。また、この秩序相が長距離秩序を持つことを定量的解析により明らかにした。集団運動の大域的秩序相における密度ゆらぎの異常性は、理論・数値計算で20年前から予想されていたものの、他の実験系では得られていなかった成果である。これらの結果は、まもなく投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ヤヌス粒子のこれまでの結果は投稿論文にまとめた上で、これまでヤヌス粒子では得られていなかった大域的秩序相も実現できた。この秩序相の結果をフィラメント状大腸菌の結果や理論研究と比較することにより、今後より一層の進展が期待できる。 バクテリアの実験は実験精度を高めるとともに解析手法を工夫することで、理論研究と対応付く結果を数多く得ることができた。これにより、集団運動の大域的秩序相の性質を実験で詳細に調べられた。
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Strategy for Future Research Activity |
ヤヌス粒子および大腸菌の実験系で、相互作用や密度などのパラメータをより制御しやすい実験系の構築に取り組む。その上で、各々の秩序相に関するデータを取り、集団運動の性質や秩序相と無秩序相の相転移の性質を詳細に調べる。
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Remarks |
Daiki Nishiguchi's web page
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