2016 Fiscal Year Annual Research Report
P-スピロ型アミノホスホニウム塩を触媒とする高度分子変換
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14J10069
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉岡 謙 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 有機分子触媒 / 有機イオン対 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で注目したP-スピロ型キラルテトラアミノホスホニウム塩は当研究室で開発された有機分子触媒であり、アミノホスホニウムイオンの水素結合供与能に起因する高い立体制御能を有している。これまでに本研究では、反応点を複数持つ親電子種として電子不足なジエンあるいはトリエンを用いたアズラクトンの共役付加反応において、共役塩基であるトリアミノイミノホスホランが反応位置および立体の制御に極めて有効な触媒であることを明らかにしている。また、イミノホスホラン触媒のアルキル・アリール置換基を適切に選ぶことで、末端にアリール基が置換したジエンを基質とした場合に生成し得る16種の異性体のうちから、2つのジアステレオマーを独立にかつそれぞれほぼ完全な位置および立体選択性で作り分けることに成功している。今年度は、ジアステレオ選択性の反転の起源について迫るために、触媒のアルキル置換基が遷移状態に及ぼす影響についてX線結晶構造解析とDFT計算の双方から詳しく調べた結果、触媒のアルキル置換基周辺における立体環境の差が、ジアステレオ選択性の反転を引き起こすエネルギー差の起点になっていることを示唆する知見を得た。また、本触媒系が共役の方向の識別に焦点を当てたジエニルアルケニルケトンに対する付加反応においても1,6-付加を有利にすることを見出し、カルボニルからの距離および方向を制御した新しい共役付加反応の開発に成功した。 並行して、本ホスホニウムイオンの遷移状態制御能を武器に、一般に困難とされるラジカル化学種の制御を目指した研究を行った。まず、ラジカル化学種の触媒的発生に焦点を当て、プロトン共役電子移動によって発生するシクロプロパノール由来のオキシラジカルから生成するカルボニルのβラジカルの付加反応を取り上げた。検討の結果、可視光増感剤とキラルイミノホスホランとの協働触媒系を用いることで目的の付加体を得た。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)