2015 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト褐色脂肪組織による糖代謝改善効果とそのメカニズムの解明
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14J10103
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
米代 武司 北海道大学, 獣医学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 褐色脂肪組織 / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトBATの耐糖能制御作用を調べるため、BAT活性の高い被験者と低い被験者を対象に75g経口糖負荷試験(OGTT)を実施した。その結果、寒冷刺激により糖負荷後の血中グルコース濃度の上昇は緩やかになり、特にBAT高活性者の方がその変化量が大きい傾向にあった。これらの結果から、ヒトBATが糖代謝制御に寄与していることが示唆された。肥満者や糖尿病患者においてもBATを増量できるとの最近の知見も併せると、BATの増量が糖尿病予防にもつながる可能性があると思われる。 近年、骨髄由来の幹細胞が白色脂肪組織(WAT)に供給され、多房性脂肪滴を持つ細胞に分化することが示唆された。WAT中に出現する褐色脂肪様細胞はベージュ脂肪細胞と呼ばれている。ヒト成人のBATは主にベージュ脂肪細胞で構成されているため、ヒトBATの効果的な増量法を探るためにはこの骨髄-ベージュ脂肪細胞の関係を明らかにすることは重要である。そこで、C57BL/6Jマウスに放射線8Gyを照射して骨髄細胞を損傷させ、他のC57BL/6Jマウスから採取した骨髄細胞を移植する群(BMT群)と移植しない群(non-BMT群)に分け、褐色脂肪細胞とベージュ脂肪細胞を増加させる薬剤であるβ3アドレナリン受容体作動薬(CL316,243, 以下CL, 0.1mg/kg)を3日間投与し、マーカー分子UCP1の発現量を調べた。放射線を照射しなかった対照マウスではCL投与によるUCP1上昇がBATとそけい部WATの両方で認められた。しかしnon-BMT群では、CL投与によりBATではUCP1発現量が上昇したものの、そけい部WATでは認められなかった。一方、BMT群ではBAT、そけい部WATいずれでもUCP1発現量の上昇が認められた。骨髄由来幹細胞が褐色脂肪細胞の増量には寄与しないが、ベージュ脂肪細胞の増量には寄与することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、ヒト褐色脂肪が体脂肪依存的にのみならず、非依存的にも糖代謝の制御に関与することを示すことに成功した。さらに、糖代謝調節に重要な褐色脂肪細胞とベージュ脂肪細胞の制御における骨髄の役割を調べ、骨髄由来細胞がベージュ脂肪細胞の出現に寄与するとの新たな知見を得つつあり、概ね順調に進展している。一方で、褐色脂肪細胞、ベージュ脂肪細胞由来の糖代謝改善性分子の同定はあまり進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
ベージュ脂肪形成における骨髄由来細胞の寄与をより明確に証明するため、放射線を照射して骨髄細胞を損傷させたC57BL6JマウスにGFPマウスから採取した骨髄細胞を移植し、CLを投与する実験を進める。GFP陽性のベージュ脂肪細胞の出現が認められれば、交感神経作動薬応答性に出現するベージュ脂肪細胞は骨髄由来幹細胞に起因すると結論できる。
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Research Products
(24 results)
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[Presentation] Brown adipose tissue is involved in diet-induced thermogenesis and whole body fat utilization in healthy humans2016
Author(s)
Tanaka S, Hibi M, Oishi S, Yamaguchi T, Yasunaga K, Yoneshiro T, Matsushita M, Usui C, Kubota K, Saito M
Organizer
13th International Congress on Obesity
Place of Presentation
Vancouver Convention Centre, Vancouver, Canada
Year and Date
2016-05-04 – 2016-05-04
Int'l Joint Research
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[Presentation] エネルギー代謝学と性差2016
Author(s)
米代武司
Organizer
第9回日本性差医学・医療学会学術集会
Place of Presentation
北海道札幌市, ニューオータニイン札幌
Year and Date
2016-01-30 – 2016-01-30
Invited
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[Presentation] Tea catechin activates and recruits brown fat-dependent thermogenesis in men2015
Author(s)
Saito M, Yoneshiro T, Matsushita M, Hibi M, Tone H, Takeshita M, Yasunaga K, Osaki N, Katsuragi Y
Organizer
2015 International Congress on Obesity and Metabolic Syndrome
Place of Presentation
Sheraton-Seoul W-Walkerhill Hotel, Seoul, Korea
Year and Date
2015-11-13 – 2015-11-13
Int'l Joint Research
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[Presentation] Green tee catechin increases brown fat-dependent thermogenesis2015
Author(s)
Yoneshiro T, Matsushita M, Tone H, Hibi M, Takeshita M, Yasunaga K, Katsuragi Y, Saito M
Organizer
Keystone Symposia on Molecular and Cellular Biology -Beige and Brown Fat: Basic Biology and Novel Therapeutics
Place of Presentation
Snowbird Resort, Snowbird, Utah, USA
Year and Date
2015-04-20 – 2015-04-20
Int'l Joint Research
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