2014 Fiscal Year Annual Research Report
精子残存ヒストンのプロファイリングと生理的意義の解明
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14J10178
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
羽田 政司 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | ヒストンバリアント / 精子分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では精子残存ヒストンの機能を解明するため、成熟精子での重要性が示唆された5種類のヒストンバリアント (TH2A, TH2B, SubH2Bv, H2AL1, H2AL2) に着目している。平成26度における各進捗状況を以下の細項目にまとめた。 【TH2A】成熟精子のLC-MS解析の結果から、TH2Aがリン酸化修飾 (pTH2A) を受ける可能性を示唆していた。そこで平成26年度はα-pTH2A特異的抗体を作製し、修飾される時期やクロマチン上での局在を検討した。その結果pTH2Aは、成熟精子を含む極めて限定的な細胞でのみ存在することが明らかとなった。その機能を検討するために、リン酸化部位を欠損させた変異マウスを既に樹立しており、現在解析を進めている。 【TH2B, SubH2Bv】精子におけるTH2B, SubH2Bvの機能を調べるため、in-vitroで培養した精子幹細胞 (SSC) でのTH2BもしくはSubH2Bvノックダウン株を樹立した。これを内在性の生殖細胞が欠損したレシピエントマウス精巣に移植することにより精子分化における影響を検討したが、形態的に正常な成熟精子が形成されていた。このことから、TH2BとSubH2Bvの機能は精子形成に必須ではない事がわかった。一方で、TH2Bが精子形成に必須ではないことは最近報告されており、我々の実験系が機能していることを示している。 【H2AL1, H2AL2】 H2AL1とH2AL2の遺伝子群を欠損させることにより、精子分化が停止することを示していた。この影響が特にどちらの遺伝子群に依るものか調べるために、精子形成過程において個々の遺伝子群をノックダウンさせた。その結果、両者とも正常な精子が形成されていた。このことから、精子形成過程において、H2AL1, H2AL2両者が重要であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
α-pTH2A特異的抗体の作製や精子形成におけるTH2B, SubH2Bvの機能評価など、当該年度における研計画を予定通りに遂行した。よっておおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
pTH2Aについて、樹立したリン酸化部位変異マウスを詳細に解析することにより、精子形成期における機能を明らかにする。H2AL1, H2AL2について、両者を認識する特異的抗体を作製し、精子形成過程におけるゲノム局在を調べる。SubH2Bvについて、SubH2Bv欠損精子を用いて試験管内受精させることにより精子機能への重要性を評価する。
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Research Products
(3 results)