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2014 Fiscal Year Annual Research Report

ニワトリ始原生殖細胞の自己複製機構解明と培養系への応用に関する研究

Research Project

Project/Area Number 14J10343
Research InstitutionShinshu University

Principal Investigator

宮原 大地  信州大学, 総合工学系研究科, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2014-04-25 – 2016-03-31
Keywordsニワトリ / 始原生殖細胞 / 幹細胞因子 / 細胞培養 / ノックダウン
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、ニワトリ始原生殖細胞(PGC)の増殖機構を解明し、その知見を培養系に応用することにより、効率的なニワトリPGCの培養系を構築することを目的として行なった。

1)初年度は、ニワトリPGCが増殖するために必要とする因子の探索を行い、ニワトリ幹細胞因子(chSCF)を同定した。ニワトリPGCにおいてchSCFの受容体であるKitをノックダウンするとPGCの増殖効率が大きく低下したことから、chSCFの下流シグナルはニワトリPGCの増殖に極めて重要であることが明らかとなった。また、Kitのノックダウンによって、PGCにおけるAktのリン酸化が阻害されていることも分かった。このことから、ニワトリPGCにおけるchSCF/Kitの相互作用は、PI3K/Aktシグナルを介した増殖系に寄与していることが示唆された。現在は、低分子阻害剤を用いた詳細なシグナル経路の解析を進めている。

2)続いて、chSCFの使用によるPGC培養系の改良を試みた。chSCFには哺乳類と同様に分泌型(chSCF1)と膜結合型(chSCF2)のアイソフォームが存在する。よって、それぞれのアイソフォームがニワトリPGCに与える効果を検証するために、chSCF1またはchSCF2を安定発現するフィーダー細胞を樹立し、これを用いてPGCを培養した。その結果、いずれのアイソフォームも単独で使用した場合にはPGCの増殖効果が見られなかったものの、ニワトリPGCの増殖に極めて重要とされるFGF2と併用することでPGCの増殖効果を改善することができた。特に、chSCF2を用いた場合にPGCの増殖効果が最も高くなり、従来法に比べて5倍以上の増殖効果を示した。また、chSCF2によって増殖したPGCではAktのリン酸化状態が亢進していることが明らかになったため、1)の実験結果を裏付けるデータを得ることができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

ニワトリPGCにおけるRNAi法の確立や低分子阻害剤の選定などに予想以上に時間がかかったものの、結果的にchSCFとKitの相互作用とPI3K/Aktの関係性を推定することができ、これらがニワトリPGCの増殖に関与している可能性を提案するに至った。

また、膜結合型であるchSCF2はニワトリPGCの増殖に極めて有効であることを見出すことができ、従来の培養系に比してPGCの増殖効率を大幅に改善することができた。従来の培養系には哺乳類のSCFが使用されていたが、哺乳類のSCFとchSCFとの相同性は50%程度であり、ニワトリPGCにはあまり顕著な効果を及ぼさないことが知られていた。今回の実験で、ニワトリに由来するSCFを用いた解析を行なったことにより、ニワトリPGCに対するSCFの効果を直接的に検証できた。このことは、ニワトリPGCの培養に有用な知見をもたらすと思われる。

Strategy for Future Research Activity

ニワトリPGCにおける遺伝子発現解析ならびに公共データベースの活用により、PGCの増殖に関連する分子がchSCF以外にも複数同定されている。したがって、次年度はこれらのスクリーニングを行い、ニワトリPGCにおける効果を引き続き検証する予定である。その際、本年度で開発したRNAiによる受容体のノックダウン、低分子阻害剤を用いたシグナルの阻害などを活用し、PGCの増殖機構をより詳細に理解することを目指した実験を行なう。

また、chSCF2を発現するフィーダー細胞によって培養されたPGCが、正常なPGCと同様に宿主生殖巣内で配偶子分化を完遂するかどうか調べる必要があるため、生殖系列キメラを作出して後代検定を行なう予定である。

  • Research Products

    (8 results)

All 2015 2014

All Presentation (8 results)

  • [Presentation] ニワトリ幹細胞因子を発現するフィーダー細胞を用いて培養した始原生殖細胞の配偶子分化能2015

    • Author(s)
      宮原大地、大石勲、牧野龍一、加藤亮、小野珠乙、鏡味裕、韮澤圭二郎、田上貴寛
    • Organizer
      日本家禽学会2015春季大会
    • Place of Presentation
      宇都宮大学
    • Year and Date
      2015-03-30 – 2015-03-30
  • [Presentation] 外来遺伝子を安定発現する組み換えニワトリ樹立の試み2015

    • Author(s)
      大石勲、吉井京子、宮原大地、鏡味裕、田上貴寛
    • Organizer
      日本家禽学会2015春季大会
    • Place of Presentation
      宇都宮大学
    • Year and Date
      2015-03-30 – 2015-03-30
  • [Presentation] Kitの発現抑制はニワトリ始原生殖細胞の増殖能・移住能を低下させる2015

    • Author(s)
      宮原大地、大石勲、牧野龍一、胡桃澤希未、小野珠乙、鏡味裕、韮澤圭二郎、田上貴寛
    • Organizer
      日本畜産学会第119回大会
    • Place of Presentation
      宇都宮大学
    • Year and Date
      2015-03-28 – 2015-03-30
  • [Presentation] 性成熟期以降のウシ精子核DNAメチル化のCOBRA解析2015

    • Author(s)
      武田久美子、小林栄治、赤木悟史、金田正弘、宮原大地、田上貴寛、渡邊伸也
    • Organizer
      日本畜産学会第119回大会
    • Place of Presentation
      宇都宮大学
    • Year and Date
      2015-03-28 – 2015-03-30
  • [Presentation] ニワトリ始原生殖細胞における馴化培地・フィーダー細胞フリー培養系の改良2014

    • Author(s)
      宮原大地、大石勲、牧野龍一、小野珠乙、鏡味裕、田上貴寛
    • Organizer
      日本分子生物学会第37回年会
    • Place of Presentation
      パシフィコ横浜
    • Year and Date
      2014-11-25 – 2014-11-27
  • [Presentation] 異種抗原の付加を目的とした遺伝子導入鶏の作出2014

    • Author(s)
      田上貴寛、中村隼明、宮原大地、武田久美子、韮澤圭二郎、小川晴子
    • Organizer
      日本家禽学会2014秋季大会
    • Place of Presentation
      鹿児島大学
    • Year and Date
      2014-09-27 – 2014-09-28
  • [Presentation] 始原生殖細胞由来遺伝子改変ニワトリの樹立2014

    • Author(s)
      大石勲、吉井京子、宮原大地、鏡味裕、田上貴寛
    • Organizer
      日本家禽学会2014秋季大会
    • Place of Presentation
      鹿児島大学
    • Year and Date
      2014-09-27 – 2014-09-28
  • [Presentation] 幹細胞因子(SCF)が培養ニワトリ始原生殖細胞の増殖能に及ぼす影響2014

    • Author(s)
      宮原大地、大石勲、中村隼明、牧野龍一、小野珠乙、韮澤圭二郎、武田久美子、小林栄治、鏡味裕、田上貴寛
    • Organizer
      第107回日本繁殖生物学会大会
    • Place of Presentation
      帯広畜産大学
    • Year and Date
      2014-08-20 – 2014-08-23

URL: 

Published: 2016-06-01  

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