2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J10380
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山崎 加奈子 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | QCD相転移 / PNJL模型 / カイラル相転移 / 非閉じ込め相転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
クォーク・ハドロン相転移を記述するため、Nambu-Jona-Lasinio model with the Polyakov loop (PNJL 模型) にメソン励起を取り込む方法を構築した。PNJL模型は、カイラル相転移を記述するNJL模型に、非閉じ込め相転移の秩序変数であるPolyakov loopを取り込んだ模型で、これを用いるとカイラル相転移と非閉じ込め相転移を同時に記述することができる。PNJL模型はクォーク場を基本的な場とし、相互作用をクォーク・反クォークの4点相互作用で記述する。メソン場は、補助場として導入され、クォーク・反クォーク4点相互作用を湯川型相互作用に書き換える働きをする。グルーオンは有効ポテンシャルとして与える。 圧力やエントロピーなどの物理量を計算する際、従来平均場近似がよく使われてきたが、平均場近似ではメソンの熱励起が記述できないため、我々の先行研究[1,2]の方法に従ってメソン励起を取り込み、エントロピーを計算した[3]。メソン励起がない場合とメソン励起を取り込んだ場合の計算結果を比べると低温で違いが現れる。温度が上昇すると二つの差はなくなるが、これは低温でエントロピーを担っていたメソンが相転移点近でクォーク・反クォー クのペアに溶け、その結果高温でクォークとグルーオンのエントロピーに変わったためである。 [1] Kanako Yamazaki, T. Matsui, Nucl. Phys. A 913 (2013) 19. [2] Kanako Yamazaki, T. Matsui, Nucl. Phys. A 922 (2014) 237. [3] Kanako Yamazaki, T. Matsui, Gordon Baym, Nucl. Phys. A 933 (2014) 245.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、PNJL模型にメソン励起の寄与を取り込みエントロピーの計算を行った。メソン励起と取り込んだ場合とメソン励起がない場合を比較し、メソンの寄与がどの温度領域で現れるかを確かめた。この内容をまとめた論文 “Entropy in the quark-hadron transition”は、Nucl. Phys. A から出版された。また、IPN-Orsay (フランス)とLPT-Orsay (フランス)でのセミナーや、研究会等で成果を発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
PNJL模型にメソン励起だけでなくバリオン励起も取り込み、有限密度領域での状態方程式を計算する。メソン励起の取り込み方はゼロ密度の場合と同様である。バリオン励起は[4]の方法に倣い、補助場としてダイクォーク場を導入し、ダイクォークとクォークを組み合わせることで、クォーク三体のバリオンを構成する。このようにしてバリオンを構成したら、状態方程式を計算し、平均場近似で得られた結果と比較する。平均場近似による結果にはハドロンは入っていないため、この比較をすることにより、ハドロンの状態方程式への寄与が確かめられる。この方法では、メソンとバリオンをそれぞれ計算することもできるので、相転移付近でのメソンとバリオンそれぞれのクォークへの溶け方を見ることもできる。また、ハドロンを取り込んだ分配関数から相図を計算し、平均場近似で計算された相図と比較することで、ハドロンを取り込んだことによる影響が相図にどのように反映されるかを調べる。さらに、非平衡過程への拡張も試みる。 [4] H. Reinhardt, Phys. Lett. B 244, 316 (1990).
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Research Products
(3 results)