2015 Fiscal Year Annual Research Report
オプトジェネティクス技術を用いた反芻家畜における卵胞発育制御メカニズムの解明
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14J10480
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
末富 祐太 名古屋大学, 生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | ヤギ / KNDyニューロン / 光感受性イオンチャネル / アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「反芻家畜の卵胞発育を促すGnRHパルスは、視床下部に存在するKNDyニューロンにより産生されている」という仮説を証明することである。 視床下部弓状核のKNDyニューロン特異的に光感受性イオンチャネルを発現する遺伝子導入シバヤギを作出するために、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターによる遺伝子導入技術とCreリコンビナーゼ(Cre)を用いた部位特異的な遺伝子組換え技術を組み合わせる予定である。 今年はまず、ヤギの神経細胞でCre依存性にタンパク質発現を誘導できるかを評価するために、当研究室で樹立したヤギKNDyニューロン不死化細胞株に、Cre依存的に発現する赤色蛍光タンパク質の遺伝子を含むベクターと Cre発現ベクターを共導入した。48時間後に、赤色蛍光発現を指標にタンパク質発現の誘導の有無を観察したところ、Cre発現ベクターの導入によって赤色蛍光が発現していた。また、KNDyニューロン特異的にCreを発現させるために、TAC3プロモーター配列をCre遺伝子の直前に挿入したTAC3-Creプラスミドベクター(TAC3-834-Cre)を作製した。このTAC3-Cre-834を、先の検討と同様に、Cre依存的に赤色蛍光タンパク質を発現するベクターとともに、ヤギKNDyニューロン不死化細胞株に導入したところ、赤色蛍光が観察された。 以上より、AAVベクターとCreによる組換え技術を併用することで、ヤギKNDyニューロン特異的に光感受性イオンチャネルを発現させることが可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画では、反芻家畜の卵胞発育制御メカニズムの解明に必要な遺伝子導入ヤギの作出を完了することを目標としていた。まず、このヤギの作出に必要なAAVウイルスベクターを生成するのに必要なプラスミドベクターの作製を完了した。さらに、当研究室で樹立したヤギKNDyニューロン由来の不死化神経細胞株を用いたin vitroの検討も実施し、ヤギの脳内で目的の遺伝子組み換えを起こせることを示すデータも得られた。以上の通り、若干の遅れはあるものの、概ね期待通り研究を進展させることができた。来年度初めには目的のヤギの作出を完了し、このヤギを用いた卵胞発育制御メカニズムの解析を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
採用3年度目は、光感受性イオンチャネルを発現するDNAコンストラクトとTAC3-CreのDNAコンストラクトのそれぞれが搭載されたAAVベクターを、シバヤギ弓状核に同時注入して、目的のシバヤギを作出する。この光感受性イオンチャネル発現シバヤギを用いて、KNDyニューロンがGnRHパルス状分泌の発生中枢であることを示すデータを収集する。具体的には、光照射によりKNDyニューロン活動を活性化あるいは不活性化させると同時に、弓状核の神経活動記録と連続採血を行い、KNDyニューロンの神経活動が性腺刺激ホルモンの分泌動態に与える影響を解析する予定である。
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Research Products
(2 results)