2014 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス刺激によるFGF21脂質代謝制御機構の解析
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14J10497
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丸山 竜人 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | FGF21 / ER stress |
Outline of Annual Research Achievements |
FGF21(Fibroblast Growth Factor 21)は肥満・糖尿病モデルマウスで全身のインスリン感受性の改善などへの関与が知られている分泌性線維芽細胞増殖因子である。前年度における研究結果より、C57BL/6Jマウスに小胞体ストレス誘導剤であるツニカマイシンを経口投与したところ、肝臓におけるFGF21のmRNA発現の亢進及び血中へのFGF21の分泌亢進が確認された。そこで、今年度はストレス誘導下でのFGF21の発現亢進が及ぼす影響を解析するため、FGF21ノックアウトマウスを用いた実験を行った。まず、ツニカマイシンを野生型およびFGF21ノックアウトマウスに経口投与し、肝臓における小胞体ストレス応答遺伝子の発現変動をRT-realtime PCR法やウエスタンブロッティング法により対照群と比較した。その結果、ミスフォールディングタンパク質の折畳に関与するシャペロンタンパク質BiPなどのストレス応答マーカーや小胞体関連分解(ERAD)関連遺伝子のmRNA発現がFGF21欠損により発現増大していた。以上の結果より、野生型マウスに比べFGF21ノックアウトマウスではストレス耐性が弱くなっている可能性が考えられた。次に、FGF21をレスキューすることでFGF21欠損による影響が打ち消されるかの検証を試みた。FGF21を発現するアデノウイルスをFGF21 ノックアウトマウスに感染させ、その後ツニカマイシンを経口投与し肝臓における小胞体ストレス応答遺伝子の発現変動を対照群と比較した。その結果、対照群で見られたストレス応答因子の発現亢進がFGF21過剰発現により減弱していた。したがって、FGF21がストレス軽減作用を有する因子であることが示唆された。今後は薬剤以外に小胞体ストレスを惹起する刺激においても同様の効果が確認されるかを検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度における研究活動で得られた成果を投稿論文として仕上げる準備段階まで進展できたため
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度は主に人工的な刺激下での機構解析を行ったため、翌年度はより生理的条件下に近い刺激での機構解析を試みる
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