2014 Fiscal Year Annual Research Report
脳を標的とした全身投与型1分子siRNA封入微小核酸キャリアの構築と機能評価
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14J10626
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 光太朗 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | ドラッグデリバリー / siRNA / 脳標的 / ポリアミノ酸 / ポリイオンコンプレックス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ポリアミノ酸高分子を用いて、脳を標的とした微小siRNAキャリアの開発を目的として研究を進めている。前年度までの研究において、微小siRNAキャリアの形成にはポリアミノ酸の重合度が重要であり、ポリアミノ酸の重合度とsiRNAの塩基数を厳密にコントロールすることにより、20 nm以下のサイズの微小核酸キャリアを調製できることを明らかにした。小サイズの高分子キャリアは組織浸透性が高いことが知られており、この微小核酸キャリアは高い組織浸透性を有し、標的組織の深部(本研究では脳全体)まで拡散することが期待される。その微小siRNAキャリアが間質の多い膵臓がん(BxPC3)の皮下腫瘍モデルにおいて、間質を効率的に通過して腫瘍に集積し、治療効果を示すことを明らかにしてきた。 本年度は、血中滞留性の向上を目指し、ポリアミノ酸の側鎖構造の最適化を行った。側鎖構造の少しずつ異なるポリアミノ酸高分子を合成し、siRNAとの微小核酸キャリア形成の検討を行った。まず、キャリアの構造解析を行った。その結果、アミノ酸側鎖構造を変更してもポリアミノ酸重合度が同じであれば、20 nm以下の同組成のsiRNA複合体キャリアが形成することを発見した。また、血清タンパクやポリアニオンに対する解離耐性試験により、安定性が最大化される側鎖構造を発見した。最も安定性の高い微小siRNAキャリアを実際にマウスの尾静脈より投与して、血中残存siRNA量を評価したところ、血中半減期が前年度までに用いていたポリアミノ酸キャリアに比べて3倍程度延長されることを発見した。これらにより、脳を標的とした長循環微小核酸キャリアの実現可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度までにポリアミノ酸構造の最適化が達成された。リガンド導入については材料の購入に問題点があったが、その問題点の解決方法の研究を行い、リガンド導入に向けた材料の合成法の指針を発見した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度では、リガンド導入微小キャリアの合成及び評価を行う。発見した合成法に則り、リガンド導入キャリアを合成し、マウスに投与してリガンド導入キャリアの生体内分布を検討し、脳への標的能を評価する。
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Research Products
(4 results)