2015 Fiscal Year Annual Research Report
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14J10710
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高杉 征樹 大阪大学, 微生物病研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 細胞老化 / エクソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、細胞老化がエクソソームを介して細胞間コミュニケーションにどのような変化を生じさせるのかを、特に発がんと関連する観点から調べる事を目的として行った。 まず初めにエクソソームを精製して質量分析を行う事で、細胞老化を起こした老化細胞が分泌するエクソソーム中で増加している蛋白質を多数同定した。その中の一つにがん遺伝子にコードされるSIEP003があり、エクソソーム中のSIEP003ががん細胞の増殖を促進させる可能性が考えられた。予想された通り、老化細胞のエクソソームはSIEP003依存的にある種のがん細胞の増殖を促進させた。 次に、老化細胞のエクソソーム中にSIEP003が増加するメカニズムと、エクソソーム中のSIEP003ががん細胞の増殖を促進させるメカニズムの解析を行った。老化細胞のエクソソーム中にSIEP003が増加するメカニズムについては、SIEP003の発現量に変化がない事から、SIEP003のエクソソームへの濃縮が起こっていると考えられ、その動態変化に重要と考えられるSIEP003の翻訳後修飾の変化を明らかにする事ができた。また、その翻訳後修飾の変化が起こるメカニズムについても明らかにする事ができ、原因の一つが細胞老化に伴う活性酸素レベルの上昇にある事がわかった。エクソソーム中のSIEP003ががん細胞の増殖を促進させるメカニズムについては、SIEP003のすでに知られている複数の作用機序を調べたところ、がん遺伝子として作用する際にこれまで重要と考えられていた作用機序とは異なる作用機序を介してがん細胞の増殖を促進している事が明らかに成った。以上の結果は、加齢に伴い生体内に蓄積する老化細胞ががんの発症を促進させる新たなメカニズムを明らかにするものであり、がんの新たな予防及び治療法の開発につながる事が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初3年を予定していた実験計画をほぼ2年で終える事ができ、その間期待していた通り老化細胞のエクソソームの発癌促進作用を見出し、さらにその詳細を明らかにする事ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに見出した老化細胞によるエクソソームの分泌を介した発癌促進作用が、実際の生体内の発癌にどれほど重要であるかを明らかに為るため、公開済みの臨床サンプルの発現アレイデータやマウスの癌移植モデルを用いて解析を行う。
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[Journal Article] Ablation of the p16INK4a tumour suppressor reverses ageing phenotypes of klotho mice.2015
Author(s)
Sato, S., Kawamata, Y., Takahashi, A., Imai, Y., Hanyu, A., Okuma, A., Takasugi, M., Yamakoshi, K., Sorimachi, H., Kanda, H., Ishikawa, Y., Sone, S., Nishioka, Y., *Ohtani, N. and Hara, E.
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Journal Title
nature communications
Volume: 6
Pages: 7035-7035
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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