2014 Fiscal Year Annual Research Report
縦断的脳イメージングによる脳可塑性の解明と脳可塑性促進法の開発
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14J10825
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Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
疋島(笠原) 和美 沖縄科学技術大学院大学, 神経計算ユニット, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | MRI / ブレイン・マシン・インターフェイス / ブレイン・コンピューター・インターフェイス / 経頭蓋直流電気刺激 / Voxel-based morphometry / Diffusion tensor imaging / Diffusion spectrum / 可塑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、運動学習における脳構造や脳活動の変化を個人ごとに評価し、個人ごとに合わせた脳刺激により効果的なリハビリテーション法を開発することである。 ブレイン・マシン・インターフェイス(Brain Machine Interface: BMI)は、失われた運動機能を補う新しい“神経補綴技術”である。近年、運動機能障害におけるリハビリテーションにBMIを併用することで、治療効果が促進することが報告され、今後臨床応用が期待される。一方、BMIの操作能力には個人差があり、うまく使いこなせない患者も多い。そこで申請者は、MRIによる網羅的な脳構造解析法であるVoxel-based morphometryを用い、手の運動イメージを用いたBMI操作能力に関連する脳部位を探索した。その結果、運動関連領域や体性感覚領域の灰白質体積が大きいほど、本BMIの操作能力が高いことが示唆された。この結果は、BMIの操作に関わる脳領域を明らかにし、臨床応用においてBMIの適応基準を判断するだけでなく、患者の状態に合わせた“テーラーメイド・リハビリテーション”の開発に展開できると考える。以上の結果は、神経科学分野で著名なNeuroimage誌に掲載された。 さらに、脳刺激法によるBMI操作能力の促進を目指した実験や、運動学習における脳構造や脳機能を詳細に反映するDiffusion Spectrum Imagingの開発を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、ブレイン・マシン・インターフェイスの操作能力の個人差に関する論文をまとめ、神経科学の著名な雑誌であるNeuroimage誌に採択された。関連する知見についても論文執筆を進め、さらなる成果報告の予定である。 加えて、動物用MRIでの撮像シーケンス開発や、経頭蓋直流電気刺激の実験も順調に進捗している。以上より、当初の研究計画に沿っておおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、脳の可塑的変化を詳細に捉えるために、11.7テスラの動物用MRI装置を用いて新しいMRI手法の導入を進めている。これまでに、運動学習のMRI評価研究は、大脳皮質の体積や白質の神経線維の異方性の増加といった脳構造変化が数多く報告されているが、その生物学的実体は明らかでない。そこで本研究は、これまでよりも詳細に皮質体積や神経線維の異方性を捉えるMRI手法を開発を目指している。さらに、開発したMRI手法と免疫組織染色や電子顕微鏡による生物学的指標を併用することで、神経軸索や髄鞘の変化など生物学的実体との関連を検証できると考える。この開発した手法を、これまで進めてきた人対象の実験に加え、マウスの運動学習モデルに適用し、運動学習による脳構造の変化を生物学的観点から詳細に明らかにする。
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Research Products
(2 results)