2014 Fiscal Year Annual Research Report
精密測定を生かした非摂動的計算手法の改良と新物理探索
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14J10887
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三嶋 剛 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 場の量子論の非摂動的計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究内容は、近年Belleグループを始めとするBファクトリー実験で発見が報告されているZ(4430)などのエキゾチックハドロン(XYZ粒子)を、素粒子理論的に説明するモデルのひとつの基礎づけである。XYZ粒子、特にZ(4430)はその電荷とチャーム量子数からクォーク反クォークの二体系ではありえないことが確かめられており、これをクォークモデルで説明する有力な候補は、クォーク二体・反クォーク二体の計四体系である。これにより少なくとも電荷とチャーム量子数は説明ができ、この四体系モデルによってXYZ粒子の質量が矛盾なく説明・予言できるかということである。この時QCDに基づいてクォーク四体系の振る舞いを計算するのは非常に困難なので、より近似的なモデルに帰着させることが主流である。四体系を二体系+二体系として順次計算しようと試みると可能性としてはメソンをまずひとかたまりと考えるモデルと、ダイクォークをまずひとかたまりと考えるモデルがある。Z(4430)のプサイメソンへの大きな崩壊率から、Z(4430)がもともと別のメソンの単純な二体系であったとは考えにくく、この点に関してはダイクォークモデルの方が適していると考えられている。しかしながら、クォーク二体系がダイクォークとして束縛状態を形成するという近似の正当性に関しては曖昧にされてきた。むしろ、場の量子論的に束縛状態を記述するベーテ・サルピーター方程式がダイクォーク束縛状態の解を持たないという研究がいくつか報告されており、この事実はダイクォークモデルの不確実な要素を大きくしていた。 本研究は、ダイクォーク束縛状態に関するベーテ・サルピーター方程式が解を持たない、とする先行研究の問題点を改善し、解を持つことを示唆する結果を得た。これにより、ダイクォークモデルを用いてXYZ粒子の質量を計算することの正当性がより明確になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度でひとつの研究テーマに区切りをつけ、論文の形に仕上げて投稿することができた。本研究は束縛状態を形成させる無限個のハシゴ状のグルーオン交換だけでなく、さらに無限回交差するグルーオン交換の寄与を初めて考察したものであり、場の量子論の非摂動的計算として新たな手法を提案したという点で順調な進展であると評価できる。 一方で今年度同時並行で行っていた、仮想的な粒子としての束縛状態の効果を系統的に取り扱う手法の構成については、研究としての進展はあったが論文発表できる段階までの進展は得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は束縛状態が仮想的な中間状態として寄与する場合の系統的な計算手法を構成する。そのためには仮想粒子に対する非相対論的な成分の抽出を曖昧さなしに実行する必要があり、近年開発されている、運動量積分の積分領域を系統的に分ける手法を取り入れる予定である。仮想粒子の非相対論的寄与が抽出できた後は、平成26年度の研究で築いた計算によって当研究を完成させる。
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Research Products
(2 results)